日本大学の林真理子理事長は12月4日、アメフト部を舞台にした一連の薬物事件に関して、8月の会見以来2度目の会見に臨んだ。会見には、会見には「第三者委員会答申検討会議」の議長である久保利英明弁護士と、スポーツ科学部競技スポーツ学科教授で、薬物事件に関する調査及び再発防止策検討委員会の益子俊志委員長同席している。

会見冒頭で林理事長は「アメリカンフットボール部員が違法薬物をめぐって逮捕・起訴されたこと、対応の混乱で本学の学生、保護者、卒業生のみなさま、関係者の皆様方に大変なご心配とご迷惑をおかけしたことを、改めて深くお詫び申し上げます」と謝罪し、頭を下げた。

その上で、11月30日に文部科学省に提出した改善計画に触れ、「改善計画を断固たる決意で実行し、原因の除去と改革に全力を注いでいきます」と決意を述べた。

また、現在大学の理事会で継続審議となっている、アメフト部を廃部にするかどうかについて、自身の意見を聞かれると、「継続審議中なので私の考えはご容赦頂きたい」と回答を避けた。

また廃部するかどうかの結論をいつ出すのかについても、「できるだけ早いうちにと思いますが、時期は決まっていません」と明言を避けた。

廃部問題については記者から多くの質問出たが、「連帯責任」について問われた際には、林理事長は「非常に難しい問題で上手く言えない」とした上で、「連帯責任はできるだけ無くしたいと思っている」「連帯責任はもちろん肯定すべき事ではないが、そうしなければならないときもあるというのが私の考えです」と複雑な心境を述べた。

アメフト部の廃部を巡っては、競技スポーツ運営委員会が廃部の方針を決めたが、大学の理事会で反対意見が出て、継続審議になっている。

関係者によると、理事会では、廃部とする代わりに、アメフト部自体は残したうえで、部員全員を一度退部させ、1人ひとり適格かをチェックしたうえで入部させる案があがっているという。

このほか、予算的に優遇されている現在の競技スポーツ部から、学生部管轄の運動部に格下げするなどの代替案もあがっているという。仮に格下げとなれば、推薦入試で部員を募集できなくなる。

また林理事長は、酒井健夫学長と、沢田康広副学長が辞任し、自らも6ヶ月間50%の減給処分を受けた事について「処分の内容を重く受け止め、理事長としての至らなさを反省するとともに、今後、本学の学生生徒保護者卒業生を始め関係者の方々を失望させる事のないよう、より一層気を引き締めて改革を成し遂げる責務を全うして参りたい」と反省の弁を述べ、理事長を続投する意志を示した。

さらに、沢田副学長が「辞任を強要されたのはパワハラにあたる」などとして、林真理子理事長に対し1000万円の損害賠償を求めて提訴した件については、「係争中ですから何も申し上げられない」とした上で、「学生がこういうのを見せられるのは嫌な気分になると思う。学生に対して慚愧の念に堪えない。つらいので、できるだけ早く解決していきたい」と苦しい胸の内を述べた。

さらに、アメフト部の悪質タックル問題を受けて林理事長は理事長に就任したが、記者から「日大の改革をうたって就任したが、悪化しているのでは」と問われると、「ご指摘は重く受け止めたい。就任以来改革に向けてやってきたが、大きな事件が起きると、体質、組織が脆弱だったなと言うのは痛感しています」と反省の弁を述べた。

会見では日大新聞の学生記者が質問に立ち「一学生として呆れる」「就活への影響を無くすための案は?」という質問が飛ぶ場面もあった。林理事長は「本当に学生には申し訳ない」と謝罪した上で、大学主催の就職フォーラムなどに前回と同様の数の企業を呼べるよう努力を続けるなどと回答した。

会見の最後には、就任以来の改革の進捗状況を「今何合目か?」との質問が出た。林理事長は、「何合目というより富士吉田の駅に着いたくらい。まだバスにも乗っていない」と、作家らしく富士登山になぞらえて回答。その上で「今回このような素晴らしい答申書を出して頂いたので、できることから一生懸命やっていきたい。山に登らなければいけないという気持ちでいっぱいです」と答えた。

会見は当初2時間を予定していたが、予定時間を超えて午後4時から午後6時45分までの2時間45分にわたり行われた。

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プライムオンライン編集部
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