2023年もあと1カ月。1年のホコリや汚れを落とそうと大掃除をこれからする人も多いはず。この大掃除の際に、部屋やトイレに置いていた消臭芳香剤を交換する人もいるのではないだろうか。
そんな消臭芳香剤には様々な香りがあるが、実は同じ「せっけん」の香りだとしても「トイレ用」や「お部屋用」など、使用が想定される空間によって香料に違いがあるという。
種類によってどんな違いがあり、どう使い分ければいいのだろうか。また「お部屋用」のストックが切れていた場合に、「トイレ用」を置いて代用するのは良くないのだろうか。
新年に向けて交換する前に、しっかり理解しておきたい…。意外と知らない消臭芳香剤にまつわる“あれこれ”をエステーの研究員に聞いた。
空間の「悪臭」に合わせて香料に違い
――消臭芳香剤にはなぜ「トイレ用」や「お部屋用」などの違いがあるの?
トイレとお部屋では、臭いの対象となる悪臭が異なります。お客さまの困りごととしては、トイレは便臭や尿臭ですが、お部屋では家具の材質による臭いだったり、住んでいる人やペットの臭いだったり…あらゆるものの臭いが混ぜ合わさった各家庭特有の複合臭が挙がってきます。
そのため、例えば同じ「せっけん」の香りでも、トイレであれば尿臭と便臭に効きやすい香り、お部屋であれば汗臭などに効きやすい香りと、悪臭に合わせて違う香りを採用しているところが大きな違いです。
――同じ名前の香りでも「トイレ用」と「お部屋用」で香料が違うのはなぜ?
消臭芳香剤を開発するときには、「せっけん」や「ラベンダー」など作りたい香りに対し色々な香調(香りの分類)を用意して、「悪臭と合わせて相性が良いか」で選んでいきます。トイレ用の便臭や尿臭と合う香調もありますし、合わない香調だと逆効果になってしまう場合もあります。
悪臭と合わせて香調を選んでいくので、トイレ用とお部屋用のそれぞれの臭いに相性の良い香りを選択すると、結果的に違う香料になるのです。
トイレ用とお部屋用の香りの違いは、二つを嗅ぎ比べていただけたら分かるかなと思います。
――そもそも消臭芳香剤はどうやって臭いを“消して”いるの?
臭いを消す方法は複数ありますが、当社の消臭芳香剤はそのうちの感覚的消臭法(=良い香りを使って嫌な臭いを感じないようにする方法)の一つである「ペアリング消臭」を主な消臭技術として用いています。これは悪臭と香りが合わさって人が感じることにより、嫌な臭いだったはずのものが良い香りとして感じられるようになる消臭方法です。
この方法だと悪臭と香りの相性があるので、トイレ用とお部屋用で香料が変わってくるということです。
香りの強さは「トイレ」>「お部屋」ではない!
――「トイレ用」と「お部屋用」を比較すると香りの強さに差はある?
消臭効果は香りの強さで出しているわけでないので、差はありません。弊社の場合、香りの強さはお客さまが使用するシチュエーションを想定して香りの試験を行い、悪臭を消せる範囲で設定しています。実際の空間を想定した香りの試験をする部屋を用意し、それぞれに製品を置いて、社内実施の臭気試験に合格した、香りの感度が高い社員が、香りの嗜好(しこう)性と強度の観点から試験をしています。
――「トイレ用を部屋で使う」「お部屋用をトイレで使う」など、使用を想定した場所以外で使うと効果は薄まってしまうの?
製品設計する上ではそれぞれの場所に最適な香りをセレクトしているので、想定された場所で製品を使うのがベストです。
使えないことはないのですが、製品として最大のパフォーマンスを発揮できなくなる可能性があります。臭いの困りごとがあるときだと、余計に効果を感じにくくなります。
トイレ用とお部屋用を間違えて買ってしまった場合には、臭いの困りごとを解決しなくても香りだけを楽しみたい目的であれば使っても大きな問題はないでしょう。
――「部屋の臭い」がどうしても気になるとき、「トイレ用の消臭芳香剤」を置くことは効果がある?
トイレ用の製品はトイレの悪臭に合うように、お部屋の製品はお部屋の悪臭に合うように設定しているので、最適な効果を発揮することができない恐れがあります。
トイレ用の消臭芳香剤は、狭い空間を想定して設計しているため、お部屋の空間で使用すると香りが十分に広がらない可能性もあります。お客さまのお部屋の広さにもよりますが、メーカーとしては用途に合わせて使っていただくのがやはり良いと思います。
効果的な消臭芳香剤の置き方は?
――どうしても臭いが気になる場合は消臭芳香剤の数を増やせば解決するの?
複数個置いて使っていただくと香りは強くなり感覚的消臭効果は増しますが、香りが強くなりすぎて逆に気分が悪くなる可能性があります。弊社としては適正な個数の使用を推奨いたします。
――使い始めの方が香りを強く感じるのは気のせい?
香りの成分は使い始めから終わりまでしっかり持続する設計になっております。鼻慣れもありますが、その時の環境(温度、湿度、換気など)によっても香りの感じ方は変わります。
――消臭剤の効果を高めるには、それぞれどのような場所に置くのが効果的?
トイレ用やお部屋用は鼻に近い位置、一般的には目の高さに合わせて置くのが効果的です。トイレだと棚があればその上に置いていただくのがおすすめです。お部屋用に関しては、転倒して中身がこぼれないように倒れにくい場所に置いていただくのが良いかと思います。
また、臭い発生源の近くに置くのも効果的です。キッチン周りで生ごみ臭が気になるのであればゴミ箱の近くに、靴が臭いのであれば靴箱の中に消臭剤や脱臭剤を置いていただきたいです。
消臭芳香剤は、空間の悩みに対し最大の効果を発揮するように設計されていた。新たに使う人や、家にある消臭芳香剤の交換を考えている人はこれらの特徴を意識して、部屋などに置くとよさそうだ。