運転に関する安全意識が高まる中、自家用車におけるドライブレコーダー装着率が50%を超えた(※)。

その録画機能は、事故時・事故後の対応に役立つ情報を提供してくれるインフラになりつつある。

だが、最新のドラレコは録画にとどまらないという。

特にAI搭載のドラレコは、事故対応だけでなく、事故を「未然に」防いだり、ドライバーの運転習慣の改善や、社用車に関わるコスト削減にまで力を発揮する。

AIドラレコ開発の先進グローバル企業であるNauto Japan代表執行役員社長・赤井祐記さんに、ドラレコの最先端と今後について語ってもらった。

(聞き手:NewsPicks Studios代表取締役CEO・金泉俊輔さん)

ドライバーの眠気まで検知する?

Nauto Japan合同会社代表執行役員社長・赤井祐記さん
Nauto Japan合同会社代表執行役員社長・赤井祐記さん
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――現在普及している一般的なドライブレコーダーの多くは、録画機能や事故発生時の自動連絡機能を搭載していて、それらは事故対応などに役立ちます。

しかし「それ以上のことはドラレコには期待できない」とも言われてきました。そこで近年出てきたのが「AIドラレコ」です。これは、どういったものなのでしょうか。


AI搭載のドラレコは、AIの機能により「わき見運転」などを検知して、事故を「撮る」だけでなく、未然に「防ぐ」ことができるものです。

そのような製品は現在いくつか存在しますが、これを世界で初めて実用化したのがNautoでした。

――交通事故の原因の8割は「ドライバー自身の行動」というデータもあります。御社のAIドラレコにはどんな特徴や強みがありますか。

交通事故の原因の多くは「わき見運転」や「ながらスマホ」「居眠り」といったものです。

高精度なAIでこれらをリアルタイムかつ正確に検知し、事故防止に役立てられるのがNautoの強みになります。

NautoのAIは、ドライバーの顔の角度だけでなく、視線やその他の細かな動作、総合的に状況判断をすることができます。

例えばドライバーが横を向いた際に、「巻き込み確認」や「後方確認」といった安全運転に不可欠なものなのか、それともわき見をしているのかを明確に区別できるのです。

運転中の「眠気」もAIドラレコは検知する(画像:イメージ)
運転中の「眠気」もAIドラレコは検知する(画像:イメージ)

――去年9月に御社は「眠気の検知」機能もリリースされましたね。

居眠りに至る「前」の、まさに「眠気」を検知する機能ですね。

同機能では、ドライバーの視線や、まばたきの頻度、首筋をかく、そわそわして体をゆするといった眠気の兆候ともいえる動作を複合的に分析して検知します。

――これは御社ならではの機能ですか?

居眠り運転を検知する製品は他にもいくつかあるのですが、居眠り前の「眠気」を検知できるのはNautoだけです。

AIの精度は学習データの量に大きく左右されます。学習データは多いほど良い。Nautoはすでに36億キロ分(地球9万周分)を超える実走行データを持っているため、そういった細かな検知をも可能にしました。

また、当社のAIは、当然ながらドライバーの動きの「癖」なども、随時、学習していきます。その学習データを参照しながら、ドライバーのある動作が「運転に必須の行動」なのか「危険行動」なのかを精度高く判断しているのです。

ドライバーが顔の向きをわずかに変えた、その動きが「わき見」なのか、ミラーを見る動作なのかを区別することがこれまでのAIドラレコには困難だった。

しかし、NautoのAIであればそれが可能になります。

導入後に交通事故8割減の声も

NewsPicks Studios代表取締役CEO・金泉俊輔さん
NewsPicks Studios代表取締役CEO・金泉俊輔さん

――NautoのAIドラレコは主にどんなところで利用されていますか?

現在は、トラックや営業車などの商用車でご利用いただいています。

――導入企業からは、どのような成果が得られたと報告されていますか。

たとえば、(導入から)3週間程度でわき見運転が大幅に減ったという声は多くいただいています。中には、年間の事故件数が8割減ったというお客さまもいらっしゃいます。

――事故率が下がれば、仕組み上、法人向けの保険料も下がります。また、ドライバーの中に運転を丁寧にしていく意識が醸成されれば、燃費も改善するでしょう。それも、コスト削減に寄与しますね。

実際、そういった報告もいただいています。

重大事故に至るまでには軽微な事故があって、その軽微な事故が起きるまでにはあまたのヒヤリハットがあるはずです。

さらに、そのヒヤリハットの前にはささいな危ない動作が膨大にある。それを高精度でピックアップできれば、重大事故が減るわけです。

AIドラレコの広がる可能性

NautoのAIドラレコ実機
NautoのAIドラレコ実機

――もちろん、AIドラレコの導入・利用にもコストがかかります。しかし、事故件数が減ったり、たとえば交通違反を未然に防ぐことなどができれば、導入以前までに発生していたそれらの損失分がなくなるので、結果、コストは相殺されますね。

相殺から、むしろプラスに転じている導入企業さまが多数あります。

また、導入企業さまからご評価いただいている点として、これは数字では表しにくいのですが、企業価値の向上にもNautoは貢献しています。ながらスマホ、シートベルトの未着用、喫煙などが検知できるため、法令や社会規定へのコンプライアンスを徹底することができるのです。

加えて近年では、危険運転や交通事故の様子がSNSにさらされるリスクもあります。企業イメージの毀損、いわゆるレピュテーションリスクを防ぐという意味でも、Nautoは役立っています。

さらには、物流業界の深刻なドライバー不足、いわゆる「2024年問題」などへの対応にも一役買っています。

ドライバーを交通事故から守ることによって人的損失も防げますし、AIドラレコからもたらされるデータをもとに効果的な安全指導が行えるため、ドライバーの育成にも役立っているのです。

Nauto Japanの今後の展望について語る赤井さん

――効果が多面的ですね。最後に、今後の展望についてお聞かせください。

これまで私たちは、最先端のAIを活用した「安全運行管理ソリューション」を提供し、交通事故削減という社会課題に取り組んできました。

今後は、NautoのAI技術とその安全ソリューションにより、EV化(=温室効果ガスを排出しない電気自動車を導入する動き)の進展や自動運転社会の実現に貢献していくとともに、エネルギー消費の可視化などによるCO2削減などを通じて、持続可能な社会インフラの構築をも目指していきます。

それにより、あらゆる人にとって安全・安心なモビリティ社会を実現したいと思っています。

(※)月に1回以上車を運転する18歳~59歳の男女を対象とした調査。2023年6月、ソニー損害保険株式会社調べ (https://www.sonysonpo.co.jp/auto/

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提供:Nauto Japan合同会社