東京株式市場の平均株価が20日、一時、バブル後の最高値を更新する3万3800円台まで上昇し、33年ぶりの高値水準となった。専門家によると、株価上昇には、アメリカの政策金利引き上げが落ち着くことへの期待や日本のガバナンス改革が影響しているという。

一時、バブル後の最高値を更新

日経平均株価が、取引時間中として33年ぶりの最高値を更新した。

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20日の東京株式市場の平均株価は、一時、バブル後の最高値を更新する3万3800円台まで上昇し、33年ぶりの高値水準となった。

アメリカで長期金利が低下し、主要な株価指数が上昇していることや、企業の好調な決算が好感された。

3万3388円3銭で取り引きを終えた
3万3388円3銭で取り引きを終えた

その後は、当面の利益を確定する売りが優勢となり、前日に比べ197円17銭安い3万3388円3銭で取り引きを終えている。

市場関係者からは「年末に向け株は上昇していく」と期待の声も聞かれる。

海外ビジネスを行う企業の株価上昇がけん引

「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
株価の33年ぶりの最高値、崔さんの目にはどのように映っていますか。

エコノミスト・崔真淑さん:
この株高に違和感を感じる人も少なくないと思います。株価は「経済の鏡」と言われますが、果たして日本経済はそんなに強いのか?と思う方が少なくないと思います。

では、なぜ株価が上昇しているのかというと、グローバルにビジネスを行っている大企業を中心とした株価が非常に上昇していて、それにけん引される形で日経平均が上昇しています。

堤キャスター:
なぜ大企業の株価が大きく上昇しているのでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
大きく2つの理由があります。まず一つは、アメリカ、そして、世界的に続いている政策金利の引き上げがいったん落ち着くのではないかという期待です。それによって、お金を調達する際のコストが下がり、株式市場に対してさらにお金が入るのではないか、外国人投資家を中心とした多くの投資家が日本株に割安感を感じてお金を入れてくれるんではないか、そんなところが影響しているかと思います。

堤キャスター:
もう一つの理由についてはいかがでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
二つ目は、日本のガバナンス改革に対しての期待ではないかと思います。
具体的には、2023年3月に東京証券取引所が上場企業に対して、株価の割高・割安を判断する材料となるPBR(株価純資産倍率)と呼ばれる指標について、1倍は超えるようにと上場企業に通達しました。

これまで日本の上場企業は、他の先進国に比べると株主にあまり向き合っていないのではないか、株主還元が十分でないのではといった指摘がありましたが、それが是正されるのではないか、そのあたりの期待が影響しているかと思っています。

中小企業や生活者への施策拡充に期待

堤キャスター:
株価の上昇が続く一方、私たちの暮らしは厳しい状況が続いていますが、これについてはいかがですか。

エコノミスト・崔真淑さん:
国内経済の状況を見てみると、輸入品の割合が年々増えているという指摘もあるだけに、円安、物価高の影響はより深刻になりかねないという声もあります。

ですから、現状は株高ではあるもののそれに安心するのではなく、政府に対しては、中小企業や生活者に対する施策がより一層拡充されることが期待されるかと思っています。

堤キャスター:
日々生活する中で、やはり物価高の影響はとても大きいです。多くの国民にとって、景気が良くなっていると実感できる日がやってくることを期待したいです。
(「Live News α」11月20日放送分より)

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