今、日本各地の昭和のレトロ団地がリノベーションで生まれ変わり、「個性的」かつ「手ごろな家賃」で、若者や子育て世代の人気も集めている。そこで今回の「ココ調」は、さまざまな賞にも輝く「リノベ団地」の驚きの仕掛けについて調査した。

約1000冊の本が並ぶブックリビング

築46年を迎えた東京・足立区の「大谷田一丁目団地」。その7号棟の1階に誕生したのが「読む団地」だ。

約1000冊の本が並ぶブックリビング。「本から始まる、ご近所づきあい」が団地のテーマだ。
約1000冊の本が並ぶブックリビング。「本から始まる、ご近所づきあい」が団地のテーマだ。
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テーマは「本から始まる、ご近所づきあい」で、約1000冊の本が並ぶブックリビングなどが特徴だ。もともと保育士の寮だったフロアを、若者向けのシェアハウスにリノベーションした。2023年10月には「グッドデザイン賞のベスト100」を受賞した。

原田葵アナ「まるでブックカフェのようです」
原田葵アナ「まるでブックカフェのようです」

JS 住生活事業計画部 副長・中野瑞子さん:
老朽化や高齢化の進む団地において、シェアハウスの住民同士も本の貸し借りや、イベントも時折ありますので、今回グッドデザイン賞でもそういうテーマ性を評価していただけたのかなと思っています。

家賃は5万5000円から
家賃は5万5000円から

部屋は、最も部屋数の多いタイプで、およそ18㎡のワンルーム。家賃は5万5000円から(共益費別)となっている。

住人(29):
広くてオシャレっていうところもありますし、こういった壁とかは元々団地だったんだって感じるところはありますね。

原田葵アナウンサー:
色の統一感やセンスのよさが部屋の中で輝いています。

子育てしやすい環境が魅力

埼玉県・草加市の「ハラッパ団地」は、築52年。社員寮だった建物をリノベーションし、常に満室の人気賃貸物件に生まれ変わった。

本格的なピザ作りが体験できる
本格的なピザ作りが体験できる

本格的なピザ窯に、ドッグランやシェア農園、さらには保育園も併設。子育てしやすい環境を整えるなど、新たなコミュニティー空間として再生し、「日本不動産学会長賞」を受賞している。

ハラッパ団地
ハラッパ団地

住民A:
原っぱが広い。これは子供遊べるし一目ぼれで決めましたね。
住民B:
畑や真ん中の原っぱなど、みんな集まってきてくれて、みんな友達になってくれてありがたいです。

ハラッパ団地の1LDKの部屋
ハラッパ団地の1LDKの部屋

3人家族が住む部屋は、およそ52㎡の1LDK、家賃は、およそ8万円(共益費別)だ。

母(40):
ネコが3匹飼える物件で探したら、ハラッパ団地だったんですよね。
この辺の物件に比べたら安いと思います。
草加インターが近いので高速に乗りやすく、この辺はスーパーもディスカウントストアもあるので何でもそろいやすい。最高です。

カフェ、クライミングウォール…さまざまな仕掛け

ここからは、驚きの仕掛けで地域活性化に取り組む、全国の「受賞リノベ団地」を紹介する。

田島団地の「団地キッチン」は、1階部分をカフェやシェアキッチンにリノベ
田島団地の「団地キッチン」は、1階部分をカフェやシェアキッチンにリノベ

まずは、2023年のグッドデザイン賞に輝いた、さいたま市桜区にある田島団地の「団地キッチン」。建物の1階部分を、カフェやシェアキッチンなど「食の複合施設」にリノベーションした。カフェでは、豚の生姜焼きなどのランチ定食が人気だ。

住民:
毎月、外でマルシェがあるので(街が)活性化されるというか、にぎわっていいと思います。

富山県の「SCOP TOYAMA(スコップ トヤマ)」
富山県の「SCOP TOYAMA(スコップ トヤマ)」

続いて、富山県の「スコップ トヤマ」では、県外から起業家や移住者を呼び込むため、「職住一体」の新しい団地スタイルを提案している。

福岡県の「ひのさと48」
福岡県の「ひのさと48」

一方、福岡県の「ひのさと48」では、全国で初めて団地の壁にクライミングウォールを設置。誰でも体験可能で、地域の活性化に大活躍している。

町全体を巻き込んだ「新しい団地暮らし」

都心から およそ1時間、神奈川県の「二宮団地」は、50年以上前に誕生し、580戸を有する。一時は60%を割ってしまった入居率が、さまざまな仕掛けで回復した。

神奈川県の「二宮団地」。一定のルール内ならばDIYが可能。
神奈川県の「二宮団地」。一定のルール内ならばDIYが可能。

まずは、リノベ済みの部屋を8タイプ用意し幅広いニーズに対応した。家賃は平均4万円で、一定のルール内ならばDIYも可能だ。

DIYで一部壁を抜いて、部屋に開放感が生まれた
DIYで一部壁を抜いて、部屋に開放感が生まれた

2DKの部屋で暮らす女性(46):
普通の押し入れだったんですね。それを上半分だけ壁を抜いて。

原田葵アナウンサー:
壁をなくすことで、風通しもすごくよくなりますし、部屋全体がすごく開放的に感じます。

町全体を巻き込んだ「新しい団地暮らし」に取り組む
町全体を巻き込んだ「新しい団地暮らし」に取り組む

また、新たに移住者を呼び込むための見学ツアーや、二宮町の魅力を発信するための、地域に開かれた「交流イベント」も充実させた。町全体を巻き込んだ「新しい団地暮らし」の取り組みなどで、管理運営する神奈川県住宅供給公社が「日本ファシリティマネジメント大賞」最優秀賞を受賞した。

二宮町コミュニティ協議会の会長:
10年前とはだいぶ雰囲気違いますね。いろいろな世代が交流する、非常にいい循環になっていると思います。
(「めざましテレビ」『ココ調』11月14日放送分より)

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