11月に入っても、季節外れの暖かさが続いた2023年。11月初旬…福島テレビに「クワガタを捕獲した」という情報が寄せられた。取材班は早速、真相を確かめに現地に向かった。
イタズラでおもちゃかと…
情報を提供してくれたのは福島県伊達市霊山町の杉田吉男さん。11月6日午前7時半ごろ、前日に知人と行った芋煮会の後片付けをしようとしたとき、それは現れたという。
「ここにいたんです。誰かがイタズラにおもちゃでも置いたのかなと思ったんですよ」
まさかこの時期にいるとは思わないので、おもちゃだと思った杉田さん。
「そしてこっちで片付けしている間に、登ってこの辺にいたものですから、あれ~?と思って。そしたら本物だったので、すぐ捕獲したんです」
体長5センチ 立派なクワガタ
捕獲したクワガタを、杉田さんに見せていただいた。大事に飼育されていたクワガタは、体長は約5センチ。
杉田さんの自宅周辺でも、かつては夏場によく獲れたというが「昔ほどは獲れなくなり、今は珍しい」と話す。夏場でも珍しいことなのに…74年の人生のほとんどをこの場所で過ごしてきた杉田さんにとって、初めての経験だった。
「私74歳なんですが、11月にこういうクワガタが獲れるのは珍しいというか、びっくりしたというか、異常気象なのか、珍しいなと思った」
ノコギリクワガタと判明
福島県須賀川市にある「ムシテックワールド」でマネージャーを務める渡邊善彦さん。昔からの虫好きで生物全般に詳しい、いわば昆虫のスペシャリストだ。
渡邊マネージャーに見てもらうと「ノコギリクワガタ」だということが判明。「大あごが、くの字に曲がっている事と、このギザギザの特徴。これがノコギリクワガタと分かる根拠となります」と渡邊マネージャーはいう。
寿命は約3カ月 5月~8月
初冬に生息するものなのか、渡邊マネージャーに聞いてみると…
「夏休みの終わり頃には、いなくなってしまうのが通常です。この時期に見られることは、普通ありません」
通常、ノコギリクワガタの寿命は3カ月ほどで、5月から8月の夏の時期に生息する。渡邊マネージャーによると、考えられる理由は2つあるという。
生き延びた説
渡邊マネージャーは、遅い時期に羽化したものが、その後の気温が高いことによって生き延びているのではないかという。ノコギリクワガタの適温環境は25℃前後。暑い日が続いた9月に羽化した個体が、以降も暖かい日が続いたことで、この時期まで生き残ったという説。
勘違いした説
もう一つの仮説が、勘違いして出てきてしまったのではないかというもの。本来、秋に羽化しても木の間などに身を潜め、サナギの状態同様に冬を越すノコギリクワガタ。しかし季節外れの暖かさから、初夏と勘違いをして外に出てきてしまった可能性があるという。
実はここの施設でも
ノコギリクワガタが見つかったのは、今回情報を頂いた伊達市の杉田さんの自宅敷地だけではなかった。ムシテックワールドでも10月にノコギリクワガタが木に止まっているのが見つかった。滅多にあることではなく、珍しいとのこと。
ムシテックワールド渡邊マネージャーは「気温の変化、11月に夏日を記録するとか。スズメバチも2023年はこの時期までまだ見られるので、例年とは違う気温の状態というのが言えるかと思う」と話す。もしかすると、他の場所でも同じようなことが起きているかもしれない。
(福島テレビ)