森を覆うように、茶色く枯れた木々。
豊かな自然が広がる“トトロの森”に異変が起きていた。

東京ドーム約2.6個分に、希少な生き物が息づいている貴重な場所
東京ドーム約2.6個分に、希少な生き物が息づいている貴重な場所
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9日、取材班が訪れたのは、東京都と埼玉県にまたがる緑の孤島「狭山丘陵」。

「狭山丘陵」は映画「となりのトトロ」の舞台の1つとなった
「狭山丘陵」は映画「となりのトトロ」の舞台の1つとなった

映画「となりのトトロ」の舞台の1つとなった場所で、「トトロの森 1号地」と書かれた立て看板も立っていた。

東京ドーム約2.6個分の広さに希少な植物が息づき、首都圏に残された貴重な場所だ。

トトロファンの外国人観光客も訪れていて、この日いた2人組に話を聞くと、「森を歩いていた、自然を見ていた。あと、写真撮影をしています」と話した。

そんなトトロの森で今、異変が起きている。

ドローンで見ると、茶色い木があちらこちらに広がっているのがわかる(9日正午ごろ撮影)
ドローンで見ると、茶色い木があちらこちらに広がっているのがわかる(9日正午ごろ撮影)

番組でドローンを飛ばし、空から見てみると一目瞭然だった。
青々と茂った森の中に、枯れて茶色に変色した木があちこちに見られる。

これは、樹木の葉が変色して枯れてしまう“ナラ枯れ”という木の病気が原因だ。
ナラ枯れが、広範囲に広がっている。

枯れた木は2年間で約12倍と、急増している
枯れた木は2年間で約12倍と、急増している

市が確認したナラ枯れの木は、1088本(2022年)に上る。
わずか2年間で12倍近くに増加し、急速に被害が拡大しているというのだ。

被害が出た木は枝が落下する危険があるため、「頭上注意!」と、注意を促す貼り紙が貼られていた。

害虫が原因…被害状況を効率よく把握するためドローン・AI活用

なぜ、トトロの森で木が枯れるのだろうか。

「トトロのふるさと基金」の職員・児嶋翼さんは、「ナラ枯れを起こす原因の虫『カシノナガキクイムシ』という虫を、トラップで捕まえて、枯れないように対策をしている」と話す。

「トトロのふるさと基金」職員の児嶋翼さん
「トトロのふるさと基金」職員の児嶋翼さん

害虫が持つ菌が樹木の中で広がり発生する、ナラ枯れ。

害虫の駆除などで、これまで所沢市は1億円以上を伐採の処理費用に使っている。

そして今、所沢市と民間企業は、ドローンとAI(人工知能)を使い、効率的に被害状況を把握する実証実験を始めているところだ。

ドローンとAIという最新技術を駆使し、効率よく被害状況を把握し、対策する
ドローンとAIという最新技術を駆使し、効率よく被害状況を把握し、対策する

この実証実験を進める「DeepForest Technologies」代表取締役・大西信徳さんは、「コストも時間もかかってしまうところなので、(ドローンで)上空から見つけられないかと。一気に効率化を図る実証になっております」と話している。

様々な生き物のすみかとして、大切にされてきたトトロの森。
元の姿を取り戻すための取り組みが、続いている。
(「イット!」11月9日放送より)

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