サッカーJ2・モンテディオ山形は、11月12日に勝てばプレーオフ進出が決まる大一番を控えている。その勝利に欠かせない正確なクロスが魅力の右サイドバック・川井歩選手に意気込みなどを聞いた。
川井選手のパワーの源は?
川井歩選手は、山口県出身の24歳。J1広島のユースからトップ昇格してプロになった。

2019年、22歳以下の日本代表として三笘薫選手などとトゥーロン国際大会に出場し、準優勝に貢献。今シーズンの山形では、本来の右サイドバックとして、リーグ戦31試合に出場している。積極的な攻撃参加や正確なクロスが持ち味で、得点に絡むプレーでサポーターをひきつけている。
山形2シーズン目になる川井選手。オフには山形県内の観光地を巡っていて、お気に入りは「羽黒山神社」だという。
川井歩選手:
羽黒山神社に今年2回行って、1回目に行ったあとの次の試合でアシストをできて、そこから連勝が始まったというのがあります。2回目は家族が来た時に行ったのですが、リーグが1週間空いて仙台と練習試合があったんです。その練習試合でもアシストができて勝利できたというのがある。「練習試合で使っちゃったか~」という気持ちもあったけど、行くだけでパワーを感じられる場所
川井選手といえばイカが大好物で、鼠ヶ関が大好きだと聞く。

川井歩選手:
毎日おつまみでスルメみたいなのを食べるくらい好きです。今年初めて鼠ヶ関のイカの一夜干し体験をしに行ったんですけど、楽しかったですし、そのイカもおいしかったです
イカを食べて羽黒山に登り、パワーをつけているようだ。
負けられない前節で追加点アシスト
今シーズンは1ゴール3アシスト。前節のいわき戦では、高橋潤哉選手の勝ち越しゴールをアシストした。髙江麗央選手からのいいボールが出ていた。

川井歩選手:
監督からも「裏を狙っていこう」という話がありましたし、麗央くん(高江選手)からスペースがあればいいボールが来ると信じて走ったので、本当にいいボールがきて、いいクロスが上げられてよかったなと思います
ピンポイントクロスだったが、前には藤本佳希選手もいた。どういった意識でクロスを上げたのだろうか?
川井歩選手:
佳希くん(藤本選手)がニアサイドに相手を引っ張ってくれているのが見えて、マイナスの方に潤哉くん(高橋選手)が入ってきてるというのが間接視野で見えていたので、とにかく自分はそこに強いボールをぶつけようと思って、クロスを上げました
負けは許されない状況で先制されたが、山形の選手たちは落ち着いているように見えた。
川井歩選手:
正直僕自身は焦りがありましたけど、チーム自体は落ち着いてましたし、あれだけの数のサポーターがいわきまで来てくれて、ホームのような雰囲気を作ってくれていたので「全然行けるな」という雰囲気がチームとしてあった。本当に逆転できてよかったなと思っています
いわき戦に勝って4連勝。プレーオフ進出に望みをつないだ。
サッカー人生トップクラスできつかった
現在の順位表では、5位の千葉までがすでにプレーオフ進出を決めている。

甲府と山形は勝ち点64で並んでいて、得失点差で甲府が6位、山形が7位。次の最終節は、山形と甲府の直接対決。引き分けではダメで、勝てばプレーオフ進出が決まる。
昨シーズンも、山形は徳島との直接対決に勝って、6位に滑り込んだ。今シーズンは序盤ワーストの8連敗、そして21位だった時期もあることを考えると、よくここまで挽回してきた。
最初の8連敗の時期は「自分自身も苦しい時間だった」と川井選手は語る。

川井歩選手:
これまでのサッカー人生の中でトップクラスできつい時期だったんですけど、今こうしてプレーオフ争いができていて、緊張感のある試合ができているのは本当に幸せだなと感じています
5連勝が2回あり、今も4連勝中。勝っていることでチームの雰囲気はどんどん上がっていく。
川井歩選手:
負けている時も特別雰囲気が悪かったわけではないんですけど、勝っている時はより1人ひとりが、僕自身も含めて、明るく振る舞えているのかなと思います

ポーカーフェイスに見える川井選手。まわりに明るく話しかけているのかを聞くと「ま~、気分によります」と笑って答えた。
1対1で負けない 最後は気持ちで
最終節の相手は甲府。2022年はJ2ながら天皇杯で優勝、トーナメントを勝つ勝負強い印象がある。川井選手が意識していることは?

川井歩選手:
強力な外国人選手もいますし、まわりの日本人選手もたくさんうまい選手がいる印象。まずは僕たち守備陣がゼロに抑えたら、前の選手たちが決めてくれると思うので、僕たち守備陣がゼロに抑えることを強く意識して試合をしていけたらと思います
山形と甲府の通算対戦成績は、山形の21勝12分15敗。今シーズンは開幕戦で対戦し、その時は2対1で勝っている。
甲府にはピーター・ウタカ選手、クリスティアーノ選手と実績のある選手がいて、強力な攻撃陣だ。川井選手は甲府戦でどのようなプレーが必要になると感じているのか。
川井歩選手:
相手もボールを保持してくるので、ボールのつかみ合いで自分たちが負けないことと、目の前に強力な選手がいますけど、1対1で負けないこと。とにかく最後は気持ちで1点でも多くねじ込んで勝利できたらなと思います
チームの雰囲気は「非常にいい」
8日、山形は甲府戦に向けた練習を公開した。
練習の冒頭、安達壮トレーナーから「負けたら終わり、勝ったらプレーオフ。しびれない選手はいない。いい練習をしよう」との言葉があった。

甲府戦に向けた最初の全体練習。今はけが人もおらずチーム全員で練習できており、チームの雰囲気は「非常にいい」という。
けががなくて調子がいいのに試合に出られていない選手もいるため、練習自体にすごく活気があるように見えた。

川井選手も現在の“チーム力”は「どんどん上がってきている」と話す。
川井歩選手:
今は試合に出ている選手だけでなくて、練習から試合に絡めていない選手も全力で自分にできることをやれていると思いますし、そういったところが今の連勝につながっていると思います
「大声援の中、選手は頑張ってくれる」
大一番を前にサポーターも力が入っていて、8日の練習には約80人が詰めかけていた。

鶴岡市から駆けつけたサポーター:
まさしく勝つしかない状況で、もうプレーオフが始まっているような気持ちで、高ぶっています。内容うんぬんじゃなく、とにかく試合が終わって90分たった時に、モンテが1点でも多くとっていればなという思いです

寒河江市から駆けつけたサポーター:
ホームの大声援の中、選手は頑張ってくれると思うので、ぜひ先制点・追加点・だめ押しとゴールを決めてほしいです

山形市から駆けつけたサポーター:
私たちが後ろからどんどん押して、選手が疲れたらその時に力を与えて、誰でもいいから点をとってください
渡邉晋監督は甲府戦に向け、次のように話している。

渡邉晋監督:
我々自身が一番望んでいるのは勝利ですし、みなさんが期待しているのも勝利だと思います。ホームで戦えるアドバンテージがありますから、みなさんの力を借りながら、これまで同様みなさんと一緒に戦って、みなさんと一緒に勝利をつかみたいと思います
「みなさんと一緒に」という言葉を何度も使った渡邉監督。アウェーのいわき戦でも、川井選手は山形のサポーターのパワーを感じたようだ。
川井歩選手:
アウェーでもホームのような雰囲気を作ってくれる試合がたくさんありますし、本当に毎試合パワーを感じてプレーができています
サポーターからは「誰でもいいから点をとってほしい」という声があった。川井選手も今シーズン、第27節の長崎戦で山形でのリーグ戦初ゴールを挙げている。「なんでそこに川井選手がいるんだろう!?」と思うようなゴールの瞬間だった。

まだ山形に来て点がとれておらず、毎試合「チャンスがあれば狙ってやろう」と常々思っていたという川井選手。この試合でも、この得点シーンの前にも上がった時があり「ちょっと熊本(雄太)選手に怒られながら上がった(笑)」と話す。
川井歩選手:
それでも決めてやりたいという気持ちが強かったので、また上がって秀仁くん(南選手)からいいパスがきて、パスがくる前は「きたらシュートを打とう」ということしか考えてなかったので、うまくシュートを流し込めてよかったです
熊本選手の制止を振り切ってゴールを挙げた結果、熊本選手からは何という言葉が…?
川井歩選手:
笑顔で「ナイス!」と笑ってました。喜んでくれてました
「最終節、勝つしかない」
次の甲府戦でも、川井選手の積極的な攻撃参加、ゴールにも期待がかかる。大一番に向けた意気込みを力強く語ってくれた。

川井歩選手:
最終節、勝つしかないと僕たちは思っているので、サポーターも僕たちと一緒に戦ってもらって、去年のようにプレーオフを決めて一緒に喜び合えたらなと思います。本当にたくさんの応援をよろしくお願いします
大注目のリーグ最終節は、11月12日(日)、ホームで午後1時キックオフだ。

甲府戦の来場者には、先着1万人に「フライトキャップ」がプレゼントされる。スタジアムで選手たちを後押ししよう。
(さくらんぼテレビ)