イスラム組織・ハマスとイスラエルの武力衝突から1カ月が経過した。

テロの犠牲となったイスラエル市民と共に、大きな犠牲者とも言えるのがガザの市民。中でも子供たちだ。国連からは「ガザが子供たちの墓場になりつつある」という声も上がった。

ガザの子供たちを取り巻く実情を、フジテレビ取材センターの立石修室長がお伝えする。

ガザが子供たちの墓場に

ガザ地区・北部にある最大の病院、シファ病院周辺の映像。

この記事の画像(13枚)

6日に撮影されたものだが、病院周辺には5万~6万人が避難している。テント内には子供たちの姿も多く確認でき、過酷な環境であることがわかる。

この病院周辺は、イスラエル軍による空爆が現在も続いている地域。病院内の廊下にも、子供や母親などがあふれている。

そのような環境でも笑顔を見せる子供もいるが、ぐったりしている子供たちの様子も映し出されている。

テントで暮らす女性は「子供たちの遺体が袋に入れられて運ばれてくるのを見た。体を4つにバラバラにされていた子供もいた」と話す。

中東のテレビ局、アルジャジーラによると、イスラエル軍は6日もハマス掃討のために、小児専門病院を含む総合医療施設に空爆を行ったという。

この1カ月で、どれほどのガザの子供たちが犠牲になったのだろうか。

ハマスが運営するパレスチナ当局の発表によると、ガザ地区での犠牲者は1万人を超え、うち4104人が子供だという。

国連のグテーレス事務総長は「ガザ地区は子供たちの墓場になりつつある」と非難し、即時停戦を呼びかけた。

また、ハマスについても「民間人を人間の盾にしている」と非難。「ガザの悪夢は人類の危機だ」と述べた。

戦況や生活環境が悪化する中で、体力的にも脆弱な子供たちが犠牲になっているのが現状だ。

ハマス側も子供たちを利用

そして、グテーレス事務総長も指摘しているが、ハマス側も子供たちを利用している現実がある。

イスラエル軍が公開したガザ地区北部にあるボーイスカウト関連施設の映像では、建物の壁に描かれた子供たちの絵が映っている。

しかし、その反対側を見ると、ロケットランチャーの発射台が並んでいる。

映像内で、イスラエル兵は「イスラエル軍の前線基地に向けられているようだ」と説明している。

イスラエルは、こういった学校や遊園地など子供に関連する施設にも、ハマスの施設やトンネルなどを設置し悪用されていると主張し、攻撃の手を緩めていない。

一方でハマスは、イスラエルが求める人質の無条件解放を拒否しており、イスラエルから誘拐した子供たちの映像を用いて揺さぶりをかけるなど、子供たちを利用している。

戦火にさらされ、生活でも困窮を極める子供たちは、精神面でも大きな傷を負っている。

国連児童基金ユニセフのエルダー広報官は、肉体的な危機のみならず、子供たちが「戦闘によるトラウマを抱えている」「心の傷も大きくなっている」と指摘。ガザで働く国連スタッフの娘も、血が出るまで自分をひっかくような自傷行為に及んでいると話している。

ガザ地区は、今回の紛争が起きる前からうつ病の人が多かったり、自殺率も高いといわれている。さらに、この紛争が子供たちの心理に与える影響は大きい。

エルダー広報官は「子供たちが支払う代償は何世代にもわたって続く」と指摘している。
(「イット!」 11月7日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(13枚)