イスラム組織「ハマス」がイスラエルへの大規模テロ攻撃を行ってから11月7日で1カ月。
イット!の榎並キャスターはイスラエルのネタニヤフ首相の“最側近”を取材した。

その人物は、イスラエル首相府の上級顧問を務めるマーク・レゲブ氏。駐イギリス大使や政府の報道官などを歴任したイスラエルの最高幹部のひとりだ。先が見えない戦いが続くなか、一つ目のポイントとして、レゲブ氏に「軍事作戦」の現在地について聞いた

――今の状況というのは今回のガザ地上作戦全体から見ると何%の段階にある?

レゲブ氏:
状況は毎日よくなっている。ただ、思っているよりも時間がかかるのではないかと思います。我々のゴールとしてはハマスの軍事部隊を完全に破壊したい。そしてガザの実行支配をやめさせ、ハマスの武装も解除させたい。

レゲブ氏は榎並キャスターのインタビューを受ける直前にネタニヤフ首相と電話で話していた。その内容は もちろん“機密情報”と言われたが、「ガザ地区の状況について」と「全面的な勝利をするための話し合い」をしていたという。

レゲブ氏は、ハマスの軍事部隊を完全に破壊することが目標、ゴールなんだと話していたが、今後の作戦について聞くと「時間がかかるのではないか」という見通しを示していた。

2つ目のポイントは、世界からも批判を浴びている人道危機への対応。そして、この戦いに一時停戦はあるのかを聞いた。

――犠牲者も増え続け、イスラエル国内の世論としても停戦を望む声が出てきている中で攻勢をやめない理由は?

レゲブ氏:
10月7日に攻撃を受けたときそれまではすごく平穏な日々だったが、ハマスはいきなり攻撃してきた、そして停戦をする気がないのです。

――西側諸国からも強硬姿勢の批判が上がっています。今後もこの考えを崩す余地というのは無いのか?

レゲブ氏:
アメリカでも停戦を支持している訳ではない。停戦をしてもハマスの有利になるだけだと。ハマスがまた次の攻撃を計画する時間を与えることになるので、よりハマスに対して有利になることはアメリカも知っています。

イスラエルはこの大規模戦闘が終わったあとの出口戦略どう考えているのかについても聞いた。

レゲブ氏:
(ガザ市民には)攻撃に巻き込まれないように一時的に避難してほしいと伝えています。戦争が終わればもちろん北部に戻っていただきたい。

――この戦闘が終わればまた市民の皆さんはガザに戻れると。ただ軍事作戦が終わったあとのガザ地区はどうなっているという風に想像していますか?

レゲブ氏:ハマスがいなくなればガザ地区は再建して、より平和な地域にすることができる。この戦闘が終わればガザをそういったテロ組織が支配する地域にならないよう再建していきたい。

再建する際には、国際的な協力も必要だとレゲブ氏は語っていた。

「ハマス」は組織であって、イデオロギー(政治・社会思想)が生み出したものでもあり、「第2のハマス」が出てくる懸念はないのか、この掃討作戦で本当に脅威を取り除けるのかを聞きたところ、レゲブ氏は「ハマスの思想を完全に無くすことはできないが活動拠点をなくすことはできる」と話し、こんな「例え」を持ち出した。

レゲブ氏は、日本の「地下鉄サリン事件」の話を引き合いに出して、「人々に危害を加える団体があった場合、その人達の考え方を完全にはなくせないが、活動拠点をなくすことが出来る」と話してた。オウムの事件と単純に比較は出来ないが、そのような話しをしていた。