国立科学博物館が8月から開始したクラウドファンディングに、約3ヶ月でのべ5万6000人から9億円以上の支援が集まった。これは、クラウドファンディングの史上最高額だという。

返礼品には40種類以上のコースが用意され、国立科学博物館オリジナルの内容に注目が集まっていた。この件について文科省担当の林英美記者が解説する。

クラファンで史上最高額

国立科学博物館のクラウドファンディングが終了し、史上最高額の9億円以上が集まった。

この記事の画像(10枚)

国立科学博物館は、コロナ渦による入館者の減少や、光熱費の高騰により資金繰りが厳しくなっていることから、8月から1億円を目標にクラウドファンディングを開始していた。

その結果、約3カ月でのべ5万6000人から、9億円以上の支援が集まった。

国立科学博物館・篠田謙一館長は「目に見えた形で、世間の皆さまに支持されているということが分かった。これがおそらく一番重要な成果だったと考える。ありがとうございました」と話した。

9億円を超える金額、なぜ、ここまで支援を得られたのだろうか。

寄付をした人たちは、5日時点約5万6500人。国立科学博物館によると、テーマに掲げていた「地球の宝を守れ」に賛同した支援者が多く、「歴史を未来につなぐために頑張ってください」という声や、「子どもたちにつなぐバトンを研究者に託します」などといった声が支援者から寄せられたという。

また、返礼品の存在も大きかったという。

最高支援金額の返礼品コースは100万円とかなり高額にも関わらず、18人から応募があった。また、一番人気の1万5000円の「かはくオリジナル図鑑」のコースは、3万9000人以上の応募があった。

返礼品には40種類以上のコースが用意され、国立科学博物館オリジナルの内容に注目が集まった。

例えば、一番人気の「かはくオリジナル図鑑」は、全研究者が自身の最も推している標本を選び、解説したものを1冊にまとめた「図鑑」。また、普段は見られない収蔵品を見ることができる、バックヤードツアーの化石コースなどは完売する人気ぶりだった。

返礼作業は想像以上に大変

集まった9億円の使い道は、決まっているのだろうか。

9億円のうち、4.4億円は標本の維持や管理に使われる予定。その他、約1億円は全国の博物館と連携し、標本のレプリカを作製する事業などに使われるという。

そして、集まった寄付金のうち、3分の1に当たる3億2000万円は、返礼品の作製やクラウドファンディングの手数料などにあてるという。

返礼品に関して、「かはくオリジナル図鑑」をはじめ、想像を超える応募があったため、急ピッチで制作を進め、2024年の4月には支援者の手元に届けたいとしている。

今後、また資金が必要になった時に、クラウドファンディングを活用することはあるのだろうか。

国立科学博物館は会見で、すぐにまたクラウドファンディングを行うことは考えにくいとしている。

返礼作業などで2024年3月まで全職員が仕事をする必要があり、「クラウドファンディングは想像以上に大変」と話していた。    
(「イット!」 11月6日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(10枚)