寒河江市のふるさと納税をめぐる贈収賄事件の裁判で、加重収賄などの罪に問われている元市職員の男に、山形地裁は11月1日、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。

「見返りの関係があったといえる」

判決を受けたのは元寒河江市職員・東海林雄彦被告、39歳。
判決によると、東海林被告は、ふるさと納税の業務を担当していた2020年、農産物を扱う山形市の「さくらんぼファクトリー」が必要な要件を欠いていたにも関わらず、市に返礼品を提供する協力事業者として承認させた。

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また、返礼品の送付費用を増やす有利な取り計らいをし、それらの見返りとして現金約80万円を受け取ったもの。

これまでの裁判で、東海林被告側は「受け取った金は職務上の不正行為に対する見返りの意味を含まない」と反論し、「加重収賄罪は成立しない」と主張してきた。

この点について、山形地裁で1日に開かれた判決公判で佐々木公裁判長は「さくらんぼファクトリーが寒河江市に本社を移す予定がある」とした東海林被告のうその説明を前提に審査会が承認したとして、職務上の不正行為だったと評価した。

また、東海林被告の担当職務や贈賄側とのやりとりから、「職務上の不正行為と受け取った金には見返りの関係があったといえる」とした。

そのうえで、「賄賂の額は特に大きくはないが、ふるさと納税制度の公正が害された結果は重い」として、検察の求刑と同じ懲役2年に執行猶予3年を付けた有罪判決を言い渡した。

市長「二度と事件起きないよう」

判決を受け弁護人は、「控訴するかどうかは東海林被告と話し合って決める」とした。

また、寒河江市の佐藤洋樹市長は、「二度とこのような事件が起きないようプロジェクトチームを立ち上げ、審査会などのあり方を見直している。市民や寄付をした人の信頼回復に向け、職員一丸となって取り組んでいる」とのコメントを発表している。

(さくらんぼテレビ)

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