暑かった今年の夏は特に大活躍したことであろう、冷蔵庫の自動製氷機。最近はめっきり寒くなってきたことから使う頻度は減ったと思うが、皆さんはこの手入れをどうしているだろうか。

給水タンクから自動で水を送って氷を作る“自動製氷機”付きの冷蔵庫は多いと思うが、実は自動製氷機の掃除は定期的に必要なのだ。

“水しか使っていない”から掃除は不要と考える人もいることだろう。また、そもそも掃除方法を知らないという人もいるかもしれない。

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例えばSNSを見ると、“クエン酸と食紅”を混ぜた水を使って掃除した人や、自動製氷機用の洗浄剤を使って掃除している人がいた。

そして気になるのは、自動製氷機に使用する水について、「水道水がおすすめ」と記載するメーカーがあることだ。またミネラルウォーターと水道水、同じ水なのに何か違いがあるようだ。

そこで年末の大掃除前に、「水しか使わないのに掃除は必要?」「なぜ水道水がおすすめなの?」など気になる自動製氷機の疑問について、冷蔵庫を製造しているメーカー3社に聞いた。

氷を清潔に保つために週1回“水洗い”

まずは、パナソニック株式会社。「はやうま冷蔵」や冷蔵庫内を除菌する効果がある「ナノイー」などを搭載した冷蔵庫を製造している。


ーーそもそも自動製氷機は掃除する必要があるの?

自動製氷機の給水タンクや浄水フィルターは、週に1回のお手入れが必要です。製氷皿や貯水ケースも定期的なお手入れが必要です。ただ、自動製氷機のお手入れ方法の詳細は、機種により異なります。

給水タンク(提供:パナソニック株式会社)
給水タンク(提供:パナソニック株式会社)

ーー掃除していないと、どんな不具合が起こる?

お手入れ不足が続くと、水あかや浄水フィルターの目詰まり、氷のにおいの原因になります。


ーー掃除する際に注意することを教えて。

自動製氷における洗浄については市販の洗浄剤はお勧めしません。(機械部の故障や残った洗浄剤が氷に入ることも想定できるため)
氷を清潔に保つために、給水タンクの週1回を目安にした“水洗い”など部品を取り外しての“水洗い”をお願いします。

また部品別の注意点は以下となります。

■洗える製氷皿
スポンジなどで洗わないでください。(傷がつくと氷が離れなくなり故障の原因になります)製氷皿に直接水を入れて取り付けないでください。(氷がつながったり、故障の原因になります)

洗える製氷皿は水洗い(提供:パナソニック株式会社)
洗える製氷皿は水洗い(提供:パナソニック株式会社)

■給水タンク・浄水フィルター
浄水フィルターは優しく水洗いし、約3年を目安に交換してください。水あかが詰まると製氷できないことがあります。

浄水フィルター(提供:パナソニック株式会社)
浄水フィルター(提供:パナソニック株式会社)

ーーどうして製氷に使う水は“水道水”がおすすめなの?

水道水以外は、ぬめりやカビが発生しやすいため、水道水をおすすめしています。ミネラルウォーターや浄水を使う場合、こまめに給水タンクや製氷皿を水洗いしてください。

水道水以外は水アカやカビが発生しやすい

続いては、日立グローバルライフソリューションズ株式会社。冷蔵室全段をチルドとして使える冷蔵庫など、生活スタイルに合わせて使い分けられる冷蔵庫を製造している。


ーー自動製氷機は掃除する必要があるの?

初めてお使いの時や、自動製氷機を1週間以上使わなかった時に、冷蔵庫に付いている「製氷おそうじ」機能で清掃することをお願いしています。

「製氷おそうじ」機能のボタン(提供:日立グローバルライフソリューションズ株式会社)
「製氷おそうじ」機能のボタン(提供:日立グローバルライフソリューションズ株式会社)

ーー「製氷おそうじ」はどうやって洗っているの?

給水タンクの水を利用して、製氷皿や水の通り道を自動で水洗いしています。水の通り道や製氷皿を水洗いすることで、清潔な状態でお使いできます。


ーー掃除はどのくらいの頻度がおすすめ?

基本的には、定期的に水洗いすることをおすすめしています。給水タンクや浄水フィルターを定期的に水洗いしないと、水アカやカビ等が発生するおそれがあります。

給水タンクについては、週1回の頻度で、やわからいスポンジで水洗いすること、貯氷ケースについては、約3カ月に1回の頻度で、やわらかい布にぬるま湯をふくませて汚れをふき取っていただくことをおすすめしています。

浄水フィルターはやわからいスポンジで水洗い(提供:日立グローバルライフソリューションズ株式会社)
浄水フィルターはやわからいスポンジで水洗い(提供:日立グローバルライフソリューションズ株式会社)

ーーどうして製氷に使う水は“水道水”がおすすめなの?

水道水は、一般的に塩素消毒されており、ミネラルウォーターや井戸水などの塩素を除いた水よりも水アカやカビが発生しにくいため、おすすめしています。ミネラルウォーターや井戸水をお使いいただくときは、水道水よりこまめに水洗いすることおすすめしています。

60度以上のお湯も給水ポンプの故障の原因に

さらに、日立グローバルライフソリューションズのように、自動製氷機の洗浄機能を搭載した冷蔵庫を製造しているシャープ株式会社。シャープならではの特徴は、空気浄化技術で庫内を除菌しながら鮮度を守る仕組みだ。


ーー自動製氷機は掃除が必要?

必要です。特に給水タンクは、水あかの発生や雑菌の繁殖を抑えるためこまめな清掃が必要です。週に1度、給水タンクを水洗いをして頂くことをお勧めしております。

給水パイプや製氷皿は、だいたい3カ月程度(氷を使わない冬季)自動製氷機能を使用されていなかった時にお手入れをおすすめします。また、浄水フィルターは3~4年を目安に交換頂くことも推奨しております。破れたり、においが気になる時も交換するようにしてください。

当社の自動製氷機を搭載している冷蔵庫にはすべて「製氷皿清掃」という自動洗浄機能がございますのでそちらをご利用頂くのがおすすめです。


ーー掃除しないとどうなる?

特に給水タンクなどで水あかや雑菌が発生する可能性がございます。

製氷機の仕組みイメージ(提供:シャープ株式会社)
製氷機の仕組みイメージ(提供:シャープ株式会社)

ーーちなみに、自動洗浄機能はどうやって掃除しているの?

給水タンクから約100ミリリットルの水を製氷皿に注ぎ、その後製氷皿を回転させて水を貯氷ケースへ落とします。(設定によって、水の量を変更できる機種もあります)


ーー市販の自動製氷皿用洗浄剤や食器用の洗剤を使っての掃除はどう?

おすすめできません。給水タンクについている浄水フィルターに付着する可能性があるため、水による洗浄をおすすめしています。水以外のものを入れることにより、内部のポンプへの沈着・故障、パイプの目詰まり等が懸念されます。

製氷皿清掃機能を活用し、水で清掃していただくことをおすすめします。


ーー掃除する際に注意することを教えて

お湯(60度以上)・お茶・ジュース・清涼飲料水は、給水ポンプの故障の原因になるのでご使用をお控えください。また、浄水フィルターをお手入れする際は洗剤類を使わず、水洗いをするようにしてください。洗剤がフィルターに付着すると、浄水効果が減少する原因になります。

給水タンク(浄水フィルター除く)、貯氷ケースは、食器用洗剤を使って洗えます。食器用洗剤を使った場合は、水でよくすすいでください。除菌シートはおすすめできません。除菌シートはアルコールを含んでいます。アルコールの種類や使用量によって、プラスチックの変色や割れの原因になることがあります。

今回メーカー3社を取材したところ、いずれも自動製氷機の掃除は週1回の頻度で行うことを推奨していた。また、“水洗い”の際に水道水の使用をおすすめしていたのは雑菌などが繁殖しにくいからだった。

さらに詳しい掃除方法や注意点が気になる場合は、掃除する前に各メーカーのサイトなどを確認するといいかもしれない。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。