緊迫が続くハマスとの戦闘について、イスラエル側は第2段階に入ったと表明した。
ガザ地区では市民による支援物資の略奪が発生するなど、さらなる“事態の切迫”が見込まれている。

ロシアの空港で“反イスラエル”が暴徒化

怒号を上げながら、建物になだれ込もうとする群衆。入り口のガラス扉は、壊されているようだ。

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ロシア・ダゲスタン共和国にある空港で、パレスチナの旗を手にした人々が「アラーは偉大なり!アラーは偉大なり!」と叫んでいた。

イスラエルから旅客機が到着すると聞いて空港を襲撃
イスラエルから旅客機が到着すると聞いて空港を襲撃

イスラム教徒が多いとされるこの地域で、人々はイスラエルからの旅客機が到着するという情報を聞きつけ、空港に押しかけた。

群衆に詰め寄られる空港の職員たち
群衆に詰め寄られる空港の職員たち

空港職員:
ここには(ユダヤ人は)いないわ。

空港内に入り込んだ群衆の行動は、さらにエスカレート。鍵のかかったドアをこじ開け、空港職員に「ユダヤ人はどこかに行ったか?」とユダヤ人の所在を詰め寄る。

今週はついに滑走路にまで突入するなど、完全に暴徒化。地元当局によると、この騒ぎで20人が負傷。ロシアメディアによると60人が拘束されたという。

“戦争の第2段階”拡大するガザへの攻撃

世界各地に飛び火する“反イスラエル”の動き。そのうねりが大きくなる中でも、ガザへの攻撃が止むことはない。

ガザ地区から何らかの爆発による閃光が見える
ガザ地区から何らかの爆発による閃光が見える

ガザとの教会から約10km離れたイスラエル・アシュケロンから撮影された映像には、爆撃と思われる閃光が確認できた。

フジテレビロンドン支局・田中雄気記者:
ガザ地区から閃光が見えました。おそらく爆撃があったものと思われます。

イスラエル軍は29日、前日の攻撃でガザにある少なくとも450カ所の軍事拠点を空爆したと発表した。

また、地上部隊によるハマス掃討作戦もさらに拡大。

イスラエル・ネタニヤフ首相は現在の状況を“戦争の第2段階”と表現している。

軍の報道官はガザ北部の住民に対し、南に避難するよう「緊急の要請」を行っていて、今後さらに切迫した事態が見込まれている。

「あと2日分しか食料がない」切迫したガザの現状

こうした中、FNNは現地時間の10月29日、ガザ南部にいる国境なき医師団の日本人スタッフに電話で話を聞くことができた。

国境なき医師団 日本人スタッフ 白根麻衣子さん:
きょう(29日)の朝までは一切電話通信もつながらなかったので、孤立されて情報も入ってこないし、私たちから情報発信するのもできない。

白根さんはガザ南部に避難した今も、命の危機を感じているという。

国境なき医師団 日本人スタッフ 白根麻衣子さん:
私たち国際スタッフで避難しているところは、あと2日分しか食料がなくて、飲み水も食料もなければ生き延びることができない。

そんなガザからSNSで発信をしてきた、ジャーナリストのロシュディ・サラッジさんの最後の投稿が世界から注目されている。

1週間前に投稿されたその映像のタイトルは、「Watch||One minute in Gaza Strip!(ガザでの“1分”を見てほしい)」。この映像がいつ撮られたものか、また、その審議も含め明らかにはなっていないが、中東メディア・アルジャジーラによると、「ロシュディさんはこの投稿後に命を落とした」という。

SNSのコメント欄には「あなたは殉教者で(大量殺人の)証人だ」「アメリカ人としてあなたが“ここにいなくなった事で泣いています。私の国を嫌いになりました」など、たくさんの声が寄せられている。

届けられた支援物資を手にする人々
届けられた支援物資を手にする人々

一方で、切迫したガザの現状からは、もう1つの側面が浮かび上がっている。ガザ内部で撮影されたこの映像では、届けられた支援物資を人々がわれ先にと手にしているのがわかる。

その場で支援物資を食べる人の姿も確認できる
その場で支援物資を食べる人の姿も確認できる

中には、支援物資の食料らしき物をその場で食べる人物の姿も確認できる。

国連パレスチナ難民救済事業機関によると、支援物資の保管庫に数千人のガザ住民が押し寄せ、ゴムや生活必需品が奪われたことを明らかにした。

イスラエルの攻撃による影響は、様々な場面で深刻さを増している。
(「イット!」10月30日放送より)