音楽は好きでも自分で演奏するのは…と尻込みしてしまう人も少なくないだろう。そんな中でソニーが、練習をしなくても簡単に演奏できる楽器「ウルトラライトサックス」の開発を進めている。

(出典:ソニー)
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この楽器を演奏するために、特別な操作やリコーダーのように息を吹く必要はない。ボタンを押しながら楽器を口に当てて鼻歌を歌うだけで、サックスの音色を奏でることができるというのだ。

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楽器の内部で、「Spresense」というコンピュータがリアルタイムで鼻歌から音程を抽出し、サックスの音を再現。鼻歌の音域によって音色も変わるという。

またスピーカーやバッテリーも内蔵しているので、どこでも気軽に演奏できるそうだ。

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「誰もがサックス演奏にあこがれる」というイメージから誕生

このウルトラライトサックスは、すべての人に楽器を演奏する喜びを提供する「世界ゆるミュージック協会」が提唱した「ゆる楽器」として開発されているという。

練習無しで楽器が吹けるのはきっと楽しいだろうが、なぜサックスにしたのだろうか?実際に演奏を体験した人の評判はどうなのか? 担当者に聞いてみた。


――「ウルトラライトサックス」は、どんな発想から開発した?

誰でもすぐに弾けて、誰とでもすぐに演奏できるゆる楽器を使って音楽を演奏する楽しむ人たちが増えてほしいという気持ちから生まれた楽器です。

(出典:ソニー)
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――なぜ「鼻歌」と「サックス」に着目した?

鼻歌であれば、だれもがすぐにできるからです。そして、人間誰もが一度はサックスを演奏する姿にあこがれるだろうというイメージから、まずサックスをモチーフに作られました。


――奏者の「鼻歌」を、どうやって楽器の音にしている?

内臓されているソフトウェアを通じて音程を抽出し、音源のライブラリからサックスの音色と紐づけ、出力されます。タイムラグはほとんどありません。


――こだわったところや開発で苦労した点は?

やはり音程の制御でしょうか?まだ苦労しています。

出品した展示会では大人気

なおこの「ウルトラライトサックス」は、今月開催された展示会「CEATEC(シーテック)2023」にも出品され、来場者は実際に触って演奏する事ができたという。


――体験した人の評判はどうだった?

CEATECでは大人気コンテンツとなり、体験した方からは新しい楽器体験として喜ばれ、某楽器メーカーの関係者からは脅威と恐れられる(笑)など、コンセプトに関しては手ごたえを感じています。

(出典:ソニー)
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――これから「ウルトラライトサックス」はどうなる?市販化は?

楽器としては細かいビブラートなどの表現ができないなど、まだまだ成熟が必要な段階であり、さらにPOC(編集部注:試作開発前の検証)を重ねてからの市販化の検討になると思います。

ただイベントでは学校や介護施設などでの積極的な運用を考えており、先にそちらで活躍することになると思います。

たしかにサックスを吹く姿に憧れる人は多いかもしれないが、実際に演奏を学ぶのは時間や労力などでも大変だろう。そんな時、こんなに簡単にできる楽器があれば、音楽をもっと楽めるようになるのかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。