農林水産省によると、2023年9月の新米の取引価格は2022年より10パーセント値上がりしているという。格安で人気の弁当は値上げの影響を受けることになるが、店長は「守り続ける」という決断をした。
安さと米のうまさで人気
福島県福島市飯坂町のスーパー「アルタ飯坂店」 この日も多くの人が買い求めていたのが、味自慢の手作りお買い得弁当、人呼んで「250円弁当」。コメは福島県産の「ひとめぼれ」を使用していて、コメの美味しさも人気の秘密だという。

多い日で一日400個以上
買い物客は「おいしいよ。量も多いしコメがうまい」「ありがたい。このままずっと、この値段を維持してほしい」と話す。多い日で一日400個以上売れるという「250円弁当」

新型コロナが流行した時期は、巣ごもり需要の高まりと、コメの値段が下がったことから売り上げは例年に比べ1割ほどアップしたという。

新米5キロあたり200円の値上げ
しかし、今店側を苦しめるのは新米の値上げ。11月からコメの仕入れ値が5キロあたり200円ほど値上がりする。

アルタ飯坂店の矢田部衛左昌店長は「うちとしては、このまま値段は上がっても250円弁当を継続していく。お客さんに喜んでもらうことが一番大事なこと」と話す。

値段もコメも変えないという決意
コメの値上がりに伴い、利益は約5%が減少する見通し。一時は、新米と安い古米をブレンドすることも考えたが、変えずに「250円弁当」を守り続けるという。

矢田部衛左昌店長は「高いのはどこでも売っている。こういった質もよくご飯も美味しいというお弁当はなかなか無いと思う。これを継続してやっていきたい」と話した。

新米値上がりの背景の一つに、コロナ禍からの脱却があるという。外食産業の落ち込みなどでコメの需要と供給のバランスが取れず、価格が低い傾向が数年続いていたが、需要が高まったことで全国的に価格が回復。生産者からみれば長く続いた厳しい状況からの復活となっているが、消費者や飲食業界にとっては痛手となっている。
(福島テレビ)