10月23日午後3時、羽田空港のタクシー乗り場にできていたのは外国人観光客の大行列。

羽田空港を利用した男性:
(スーツケースを引きながら)こりゃ話にならんわ。

男性が諦めるほどの長蛇の列ができていたのは、国際線の到着ロビーがある羽田空港第3ターミナルのタクシー乗り場。
アメリカからの便が集中する時間帯に大混雑が発生し、警備員が対応に追われる事態になりました。

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タクシー運転手:
いわゆるカオスという状況。いつになったら乗れるんだと不安を抱えた人たちから、クレームというか苦情が多発している。

羽田空港の大混乱の影響を受けているというタクシー運転手
羽田空港の大混乱の影響を受けているというタクシー運転手

タクシー不足の解決策とされる”あるサービス”

外国人観光客が増加する観光地や、人手が不足している過疎地などで問題になっているタクシー不足。岸田首相は10月23日の所信表明演説にて、その解決策についてこう話しました。

ライドシェアに言及する岸田文雄首相
ライドシェアに言及する岸田文雄首相

岸田首相「地域交通の担い手不足や移動の足不足といった深刻な社会問題に対応しつつ、“ライドシェア”の課題に取り組んでまいります」

“ライドシェア”とは、一般のドライバーが自家用車を使って乗客を運ぶサービス。その導入に、岸田首相は意欲を示したのです。

羽田空港を訪れた海外からの利用客は、このサービスは、すでに海外では当たり前になっているといいます。

ロンドンから来た男性:
(日本にライドシェアがないことに)とても驚いているよ。ヨーロッパ、特に私が住んでいるロンドンはライドシェアはたくさんあるし、よく使うよ。

アメリカ在住の日本人男性:
昔はタクシーにすごい並んで大変なところもあったんだけど、(他の国では)もうライドシェアになって全然何の列もない。空港出て3分でライドシェア乗って、パッと行けちゃいますから。

観光客などからの導入を望む声が上がる一方で、タクシー運転手は…

タクシー運転手:
お客取られちゃう。(ライドシェア側も)定められた金額で走るなら、みんな何も文句言わない。

また、別のタクシー運転手は…

タクシー運転手:
私たちやっぱり歩合制なので、客数の減少につながることに関しては、やはりデメリットになるかなとは思いますね。(給与が)安くなって、まあタクシーでご飯が食べにくいってなれば、別の仕事にっていうのにもつながるとは思う。

国内でライドシェアの普及は実現するのか?

めざまし8は、ライドシェアを試験的に導入している兵庫県養父市を取材しました。

タブレット端末でビデオ通話をしながらアルコールチェックを行う西垣さん
タブレット端末でビデオ通話をしながらアルコールチェックを行う西垣さん

養父市のライドシェア事業「やぶくる」でドライバーをしている、西垣勲一さん(44)。
業務前には管理会社とテレビ電話をつなぎ、アルコールチェックを受けます。

ライドシェア「やぶくる」ドライバー 西垣さん
お疲れ様です。業務前のチェックをお願いします。
管理会社スタッフ:
西垣さん体調は大丈夫ですか?
西垣さん:
大丈夫です。
管理会社スタッフ:
アルコールチェックをお願いします。
西垣さん:
アルコールチェックします。

体調についての確認を終え、アルコールチェックを促す管理会社スタッフ。
西垣さんがアルコールチェッカーを使用すると、モニターには『000』の数字が表示されました。

西垣さん:
(表示された数字を見せながら)アルコールはゼロです。

業務前のテレビ通話を終え、制服の青いベストと帽子を身に着ける西垣さん。
自家用車の車体に「やぶくる」と書かれたマグネットを張り付けて向かったのは、地域に住む高齢女性の自宅です。

ライドシェア業務の準備をする西垣さん
ライドシェア業務の準備をする西垣さん

この女性は。日常的に病院やスーパーへの移動にライドシェアを利用しているといいます。

ライドシェアを利用する女性:
年寄り2人暮らしですので。こんな制度ができて利用させていただいているのが、ありがたい。

養父市は人口約2万人の、鉄道やバスなどの公共交通機関が少ない地域。
高齢者などの移動手段が確保できるよう、国家戦略特区に指定され、試験的にライドシェアが導入されました。移動する地域によって定額料金が設定されており、一般のタクシーより3割ほど安くなっています。一方、ドライバーの収入は…

ライドシェア「やぶくる」ドライバー 西垣さん:
収入っていうところで考えると、まだまだ利用のお客さんが少ないっていう現状もありますし。なかなか収入目当てではできない環境ですね。

報酬は料金の約7割で、月の収入はどんなに多くても3万円程度。本職が畳職人の西垣さんにとってライドシェアは、あくまで副業だといいます。

ライドシェア「やぶくる」ドライバー 西垣さん:
お客さんを運んであげるっていう気持ちでやってるので。仕事だっていう感覚でやってないところが(タクシーとは)大きく違うところかもしれないです。あくまで地域貢献や、ボランティアの気持ちでやってます。

政府はライドシェアの導入に、どこまで本気なのでしょうか? 

(めざまし8 10月24日放送)