「フリースクール支援は国家の根幹を崩す」など、滋賀県の会議で発言した東近江市長に発言の撤回を求め、フリースクール側が抗議文などを提出した。

「小中学生の不登校」について話し合う会議で“ある発言”

19日午後、滋賀県内で不登校の子どもたちを支援する団体が東近江市役所を訪れ、小椋正清市長の“ある発言”の撤回を求め、抗議文を提出した。

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その発言というのが、17日、滋賀県の知事や市長が「小中学生の不登校」について話し合う会議でのこと。

東近江市 小椋正清市長:
文科省がフリースクールの存在を認めてしまったことに、がく然としている。フリースクールといって良かれと思ってやることが、国家の根幹を崩してしまうことになりかねないくらいの危機感持ってる

小椋市長は、国が2023年3月に掲げた、フリースクールなどを支援する取り組みを「国家の根幹を崩しかねない」と非難した。

学校に行っていない子どもたちの「学習の場」となっているフリースクールでは、それぞれに応じた学びや居場所を提供している。その支援策とは、2022年度の全国の不登校の小中学生の数が過去最多となる中で出されたものだった。

会議に参加していた知事や市長からは、この発言を問題視する声がなかった上、別の市長からもフリースクール支援を否定する発言があった。小椋市長は会議のあと、「不登校になる大半の責任は親にある」などとも説明した。

「不登校の責任の大半は親にある」とも発言

18日、一連の発言の真意を問われた市長は、フリースクール支援を非難したことについて、こう答えた。

東近江市 小椋正清市長:
普通の国民なら無理してでも学校へ行けと言っている。子どもにやらそうと努力しているわけです。そのボーダーラインにいる子が、フリースクールで楽しんでいる子たちを見たら、そっちに流れる現象を起こす可能性があると、そういうことを予測しないといけない。そこが論議できてない。義務教育を継続している部分からはみ出てしまう。フリースクールに教員の資格を持った先生を置いて、きちっとした勉強をするならともかく、民間のフリースクールに通う親を支援しろと、そこが無責任だと。国が間違ってると言っている

学校教育から「外れている」ものを国が支援するのは間違っていると主張した。

また、「不登校の責任の大半は親にある」との発言については、「親の責任は大きいですよ。それは私の感覚的なもの、経験則ですよ」と説明した。

この一連の発言に対して、抗議文が提出された。

滋賀県フリースクール等連絡連絡協議会 谷川知副会長:
あまりにも不登校の状況、家庭の実態、子どもの様子について認識が不足しているのではないかと。首長の認識を改めてもらって、発言の撤回を求めています

また近江八幡市でフリースクールを運営する男性は、「偏見が不登校の子どもたちを一番傷つける」として発言撤回などを求める署名活動を始めた。

NPO法人Since 麻生知宏代表:
学校以外の学びの場で育つ子どもがいることをまず知ってもらいたいですし、学校以外でものびのびと育つことができることを訴えていきたいと思います

別の市長からも同様の発言

市長の発言をめぐる問題は、子どもたちへの支援を進めることにつながるのか。

東近江市長の発言の余波は収まりは見せていないが、新たに別の市長からも同様の発言があったことが分かった。

高島市の福井正明市長の「(現段階で)行政が推奨すべきものではない。基準が全く書かれていない。フリースクールで散歩をする、バレーボール、ドッジボールをすることが本当に教育なのか」という発言。

学校に行きたくてもいけない子どもにも学びの権利があり、そのような時に子どもに合ったフリースクールという場で学んでいくことができることで、子どもが学ぶ権利を守ることができるのではないのか。

発言に抗議する団体からは市長に対して「まずは保護者や当事者と対話をして共通認識を構築していただきたいと要請している」ということだ。

(関西テレビ「newsランナー」2023年10月19日放送)

関西テレビ
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