まるで飼い主を出迎える犬のような“オオカミ”のはしゃぐ姿がX(旧Twitter)に投稿され、話題になっている。

「那須どうぶつ王国」の公式X(旧Twitter)アカウント(@nakprstaff)が投稿したのは、2頭のホッキョクオオカミを展示場の窓から撮影した15秒の動画。

スタッフを見つけたホッキョクオオカミの反応(提供:那須どうぶつ王国)
スタッフを見つけたホッキョクオオカミの反応(提供:那須どうぶつ王国)
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窓の向こうで2頭が大はしゃぎしているのだ。1頭は窓のそばを左右にウロウロせわしなく歩き回り、もう1頭も同じような動きをしながら、さらには窓に向かって飛び跳ねている。2頭とも尻尾を上げ、どこか嬉しそうな様子だ。

投稿によると、これは「飼育スタッフを見つけたオオカミたち」の姿を撮影したものなのだそう。まるで飼い主の姿を見つけて喜ぶ“犬”のようで、オオカミもイヌ科なのだと改めて思った人もいることだろう。

左右にウロウロ、窓に飛び跳ねたり大はしゃぎ!(提供:那須どうぶつ王国)
左右にウロウロ、窓に飛び跳ねたり大はしゃぎ!(提供:那須どうぶつ王国)

投稿には「犬やんwww」「これはワンちゃん…なんて可愛いんだろう」「オオカミだけど、はしゃぎ方が完全にワンコ」との声が続々と寄せられており、3万5000のいいねが付く話題となっている(10月26日時点)。

「さすが犬の祖先だなぁ」

スタッフを見つけた時の様子とのことだが、なぜこんなにもはしゃいでいるのだろうか?そして、ホッキョクオオカミが人になつくのかが気になる。那須どうぶつ王国の飼育担当・二川原美帆さんに教えてもらった。


ーー展示場の前でスタッフは何をしていたの?

ご飯をあげに行こうとしていた時です。トリ肉を持っていました(展示場で与えるのはトリ肉と鹿骨のみですが、他にも馬肉や鶏頭を与えています)。エサの回数は決めてなく、日によって違います。この日の何回目のエサやりかはわからないです。

喜び方MAXの様子だそう(提供:那須どうぶつ王国)
喜び方MAXの様子だそう(提供:那須どうぶつ王国)

ーー毎回、スタッフを見つけると大はしゃぎするの?

起きているときは嬉しそうに寄ってきますが、寝ている時には気づきません。また、エサを持っていなくても来ますが、持っているときの方が喜んでいます。

動画はMAXでの喜び方です。寄ってくるだけの時もありますが、穴を掘る仕草をすることもあります。

「ご飯をもらえるかもしれない」と寄ってきている(提供:那須どうぶつ王国)
「ご飯をもらえるかもしれない」と寄ってきている(提供:那須どうぶつ王国)

ーーなぜ大はしゃぎをしたのだと思う?

スタッフが来ると、ご飯をもらえるかもしれないのでだと思います。


ーーその様子を見て、どう思っているの?

さすが犬の祖先だなぁと実感しています。

間接飼育で直接かかわることはない

ーーホッキョクオオカミについて教えて。

食肉目イヌ科。グリーンランドなど北極圏、カナダ北部に生息しています。体長は80~120cm、体重は40~70kg。

北極圏に住んでいるため毛が白く、20頭ほどの群れで生活し、狩りや子育ても群れで行います。大きな獲物を狙うより小さな獲物を狙うことが多いです。吠えたり遠吠えをすることで、お互いにコミュニケーションをとります。

ホッキョクオオカミは遠吠えなどでコミュニケーションをとる(提供:那須どうぶつ王国)
ホッキョクオオカミは遠吠えなどでコミュニケーションをとる(提供:那須どうぶつ王国)

ーー動画の2頭についても教えて。

窓に向かって跳ねているのがアザリー(オス、4歳)です。好奇心旺盛な性格をしています。ウロウロしていたのがシンラ(メス、7歳)で、おてんばな性格です。

繁殖を目指してペアで飼育している個体になります。普段は広い展示場を走り回ったり、池で遊んだり、昼寝などをしています。

ペアで飼育している2頭(提供:那須どうぶつ王国)
ペアで飼育している2頭(提供:那須どうぶつ王国)

ーー人になれたりする動物なの?

間接飼育なので直接かかわることはありません。檻越しでトレーニングなどできるとは思いますが、当園では行っていません。


ーー他にも犬っぽいなぁという行動は?

嬉しいと尻尾をふります。基本的にエサの時です。

「お肉ちょうだい」と寄ってくる(提供:那須どうぶつ王国)
「お肉ちょうだい」と寄ってくる(提供:那須どうぶつ王国)

ーー逆にオオカミだなぁと感じる瞬間は?

大きな鹿の骨を簡単にかみ砕いている様子や、口を開けた時の大きさ、歯の鋭さを見るとオオカミだなと感じます。


ーー投稿が話題となっているが、どう感じている?

この投稿をきっかけに、多くの方にホッキョクオオカミを知ってもらい、過去には日本にもオオカミがいて、絶滅してしまった事を知ってもらえると嬉しいです。

飼育スタッフを見つけると毎回大はしゃぎするとのことで、なついているのかと勘違いしてしまいそうだが、そこはやはりオオカミ。興味があるのはあくまでも“エサ”であるようだ。

那須どうぶつ王国では、3頭のホッキョクオオカミを王国タウン内の「オオカミの丘」で飼育している。飼育スタッフを前にした飼い犬のような愛らしい姿や、普段のりりしい姿を見比べてみるのもいいかもしれない。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。