山形県は2023年度から、アルバイトと観光をしながら山形での暮らしを“プチ体験”する事業を行っている。旅行では経験できない地域の人との交流を通じ、関係人口や移住者を増やすのが狙いだ。

応募倍率は7~8倍に!

山形・上山市の蔵王坊平にある「高源ゆ」。温泉とサウナが人気のこの施設で、東京から来た男性・富田裕次さんが働いていた。

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富田裕次さん:
観光では山形には来たことあるが、仕事という目線で地方に行くことはない。上山市が初めて

富田さんは普段、個人事業主として企業の採用支援や研修を行っている。10月5日から10日まで上山市に滞在し、「高源ゆ」での就労と市内観光を楽しんだ。

活用したのは、県が2023年度に始めた「やまがた暮らしプチ体験事業」。数時間単位での「スキマバイト」のマッチングを行う企業・タイミーと連携し、東北で初めて事業化した。

県移住定住・地域活力創生課 大江裕樹さん:
移住を検討する際の大きなポイントが仕事。山形ならではの仕事を体験してもらう。それに加えて観光や地域交流を体験してもらい、山形暮らしをプチ体験してもらう

地方での就業を専門とする「タイミートラベル」に求人を掲載。2023年度は上山のほか、西川・最上など5つの市と町の事業者が協力した。受け入れ先は、宿泊業やワイン製造業などさまざまで、繁忙期に労働力を確保できるメリットがある。

応募できるのは県外の人だけだが、7倍から8倍と高い倍率となっている。

富田裕次さん:
1週間前後の期間で働けるということもあり、しかもお試しで地方の仕事を経験できる。今回は働いてお金ももらえるのはありがたい

アルバイトの報酬に加え、旅費として最大3万円が支給されるため、金銭面の負担は軽くなる。富田さんは「高源ゆ」で清掃や客へのドリンク作りを担当。働きながら滞在し、暮らす人の目線で地域を感じていた。

富田裕次さん:
地方なので、不便なところがあるのではと思っていた。車で移動してみるとスーパーがあったり、ドラッグストアがあったり、生活をするのに特に問題はないと

就業を通して深まる交流

さらに、観光では体験できないのが職場での交流。

高源ゆ・桐生貴法さん:
旅行だけだと踏み込めないものがある。そこに就業があるので交流が深まる。体験した方には印象深いものになると思う。次につながる

滞在中は休みも設けられ、この日は地域おこし協力隊と一緒に市内のイベントに参加。秋の山形名物・芋煮も味わった。

体験通して移住者の増加に期待

「地方は人が少ない」と思っていた富田さん。イベントを楽しむ多くの家族連れを見て、驚いたようだ。

富田裕次さん:
マルシェイベントはいろいろなところでやっている。でもここまで子どもと親の比率が変わらないというのは珍しいと思う

仕事だけでなく地域の人と同じ日常を過ごすことで、“移住後の姿”をイメージしやすくなる。富田さんは「家族で来たら、“こんなに住みやすい場所”ってないのではないか。単身で来たとしても、何かできるのではないかという可能性は見えた。私も移住を検討できたらいい」と話す。

県移住定住・地域活力創生課 大江裕樹さん:
山形に来てもらい、いろいろな人とのつながりも体験してもらった。ぜひ山形のファンになってもらい、引き続き山形を訪れてもらい、関係人口や移住につながることを期待している

「タイミートラベル」には、今後も宿泊業や飲食業を中心に、県内の求人が掲載される予定。

(さくらんぼテレビ)

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