74歳で亡くなったシンガーソングライターの谷村新司さん。東日本大震災・原発事故に苦しむ福島県に1つの曲を遺してくれた。この曲に谷村さんが込めたのが「福島の明るい未来」だった。

被災地に寄り添う

東日本大震災の2年後・2013年6月に福島県内の仮設住宅で行われたのが、谷村さんがリーダーを務める「アリス」の復興支援ライブ。

震災から2年後 福島県の仮設住宅で行われた「アリス」の復興支援ライブ
震災から2年後 福島県の仮設住宅で行われた「アリス」の復興支援ライブ
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歌と音楽で、傷ついた福島県民の心に寄り添ってくれたのが谷村新司さんだった。

「笑顔と元気を届けられるように」と話す谷村さん
「笑顔と元気を届けられるように」と話す谷村さん

箭内道彦氏が依頼 生まれた曲

「すごく心の中の大きな支えがいなくなってしまったような、そういう寂しさが改めてわいてきます」と話すのは、福島県のクリエイティブディレクター・箭内道彦さんだ。箭内さんが谷村さんに依頼し、生まれた曲がある。

福島県のクリエイティブディレクター・箭内道彦さん
福島県のクリエイティブディレクター・箭内道彦さん

十年後の自分を想像できるように

2017年、福島県民からの800通を超えるメッセージをもとに、谷村さんが福島の今を伝える歌として作詞・作曲した「雲のかなた」。

谷村さんが福島の今を伝える歌として作詞・作曲
谷村さんが福島の今を伝える歌として作詞・作曲

この曲について二人は…

谷村新司さん:前を向いてみんながよし頑張ろうと、10年後の自分をイメージできるような。なんかそんな歌にしたかった

箭内道彦さん:今を乗り越えることでそれぞれが精いっぱいだった時に、ふっと雲の向こうにある青空というものを、みんなでイメージしましょうという呼び掛け方は谷村さんらしい

福島県が公開している「雲のかなた」完成直後の特別対談動画より
福島県が公開している「雲のかなた」完成直後の特別対談動画より

谷村さんが託した思い

当時、完成した曲のレコーディングを行ったのが日大東北高校・合唱部の生徒たち。

レコーディングに臨む日大東北高校・合唱部の生徒たち(当時)
レコーディングに臨む日大東北高校・合唱部の生徒たち(当時)

顧問の成瀬鮎見先生は「”10年後、笑顔でいようね”という詩があって、この生徒達にも10年後笑顔でいられるように、谷村さんから”頑張って前進していこうね”というような言葉をお声がけいただいて、そのような思いを込めて歌わせていただきました」と当時を振り返る。

高校生たちに谷村さんからは「頑張って前進していこう」
高校生たちに谷村さんからは「頑張って前進していこう」

それでいい…谷村さんの笑顔が

制作を依頼した箭内道彦さんは「ゆっくりとだったり、人それぞれの歩幅はあると思いますけど、それでいいんだよって谷村さんが言っている歌があの歌。にっこり笑って、きっと大丈夫だよと背中を押し続けてくれるんだろうな」と語った。

にっこり笑って背中を押し続けてくれる
にっこり笑って背中を押し続けてくれる

「10years after未来図は 見上げる蒼い空」…曲ができた2017年から10年後の私たちへの前向きなメッセージ。いまでも福島県民への応援歌として、歌い継がれている。

(福島テレビ)

福島テレビ
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