構想から30年以上、JR松山駅を高架に切り替え、大規模にリニューアルする一大プロジェクトが今、進められている。駅としての機能向上とともに、地域の活性化につながると期待されている。
「松山の顔」としては物足りなさも…
1927年に開業したJR松山駅は、老朽化した手狭な建物や市内への乗り継ぎのわかりにくさなど、多くの県民が、人口50万人の「県都・松山の顔」としては物足りなさを感じていた。

街の人にJR松山駅の印象を聞いてみると…。

男性:
ちょっとレトロな感じしますよね。まだ「有人改札」だったりして、県外から来た人に説明するときに松山市駅と松山駅を混同してて、ややこしいなという時はあります
女性:
ちょっと暗い感じ。JRで高松とか岡山に行ってたので、比べたら悪いんですけどちょっと暗い。ニュースできれいになるって聞きました。やはりきれいになったらいい。せっかく道後温泉とかあるけん。知り合いにも勧めやすい

こうした声を受け、県が主体となって進めている今回の高架事業は、JR松山駅を中心に鉄道約2.4kmを高架化。
高架への切り替えに伴い、駅舎とその周辺もがらっと生まれ変わる。
工事現場にカメラが潜入
線路の切り替え予定は1年後の2024年秋。大詰めを迎えた工事現場にカメラが潜入した。県中予地方局鉄道高架課の藤田賢課長に案内していただいた。

藤田賢課長:
市街地の2.4kmの高架区間、高架橋はほぼ完成しています。それに続くレールの敷設工事とか電気工事を今進めているところです。この高架区間のレールの敷設は約5割が完了しています
早速、カメラは高さ7メートルの高架橋の本体に。
八木記者:
高架橋の上に上がってきました。すごいですね。線路がずらっと連なってます

藤田賢課長:
今この工事は高架橋本体の工事に続いてレールを敷設する工事に入っています。枕木を置いている状況で、今からレールを取り付ける作業に移っていきます

藤田賢課長:
いま現在は1番線から3番線までですが、新たなホームは東側から1番線・2番線・3番線。西側の方が4番線。1番線と2番線が「特急専用」、3番線と4番線が「普通列車」ということで、使い方を分けます
特急列車と普通列車の乗り場を分けることで、利用者にわかりやすい便利なホームになる。

藤田賢課長:
ホームの上には(鉄骨の)箱形の形状が見えますが、あれはエレベーターが取りつく位置になります
続いて、カメラは完成前のホームの上へ。

藤田賢課長:
1番線と2番線の中央部に立っている「T型」の柱が2基ぐらい見えますが、これがホームの屋根の支柱です。今月から設置し始めまして、順番に北側からホームの屋根を付けている状況です。日に日に形になってきておりまして、(工事現場の)西側を通られる方は特に進捗(しんちょく)を確認できるのではないかと思います
建設中の新たな駅の魅力。実は見えているところだけではない。

藤田賢課長:
高架部分のレールは「ロングレール」というレールを採用しています。レールは標準の長さで25メートルですが、ここの高架の部分は25メートルのレールを溶接してつなぎ合わせて、継ぎ目を少なくしています。沿道の方にも家屋がありますから、継ぎ目があることで独特の「ガタンゴトン」と鳴るジョイント音を減らすことによって、沿道への騒音とか振動を抑えます
沿線の住民や乗客の乗り心地にも配慮した技術だ。
大型バスターミナル「バスタ」の整備も
そして、最後に案内されたのは高架下の「コンコース」。

藤田賢課長:
「コンコース」というのは駅の東西を連絡する通路になっていまして、駅の利用者が往来する場になっています
コンコースで駅を東西に通り抜けることができるようになり、利用客だけでなく住民の利便性も高まることが期待される。

また、東口と西口にはそれぞれ松山市が広場を整備する予定で、特に東口には大型バスターミナル「バスタ」の整備や、高架下をテナントとして活用することも検討されている。

藤田賢課長:
今まで駅の東側しか利用できなかったのが、東口・西口両方が使えるようになるので、駅の機能としては当然アップすると考えています。この機会に「にぎわいの空間」が創出されることが地域の活性化にもつながればいいなと我々は思っています
日々変わりゆくJR松山駅の新たなカタチ。1年後には新たな駅での乗り降りが始まる予定だ。
(テレビ愛媛)