岸田首相は、労働組合の全国組織・連合の定期大会で持続的な賃上げに取り組む姿勢をアピールした。自民党政権の首相としての出席は16年ぶりのこと。
政策実現に向けて、政府・与党と今後どのような関係が構築されるかが焦点となる。

岸田首相が賃上げの実現をアピール

岸田首相は、労働組合の全国組織・連合の定期大会に出席し、持続的な賃上げの実現に向けて取り組む姿勢をアピールした。

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岸田首相:
賃上げの大きなうねりを持続的なものとし、地方や中堅、中小企業にまで広げていかなければなりません

大会への出席は自民党政権の首相としては16年ぶりで、岸田首相は連合に対し、「コミュニケーションを密に取りながら取り組んでいくので、協力をお願いします」と呼びかけた。

連合・芳野会長:
連合は、対話の窓を常にオープンにして取り組んでいく

大会では、連合の支援を受ける立憲民主党の泉代表と、国民民主党の玉木代表も挨拶し、賃上げの実現を訴えた。

二大政党的体制の実現も難題

「Live News α」では、津田塾大学教授の萱野稔人さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
連合の定期大会への岸田首相の出席、萱野さんはどうご覧になりますか?

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
今回の定期大会は、日本の労働組合のナショナルセンターである連合が政治とどのような関係を結ぶべきか、という問いをあらためて投げかけるような大会だった。
具体的には、持続的な賃上げという最重要課題を実現するために、政府・与党と連携を深めていくのか、それとも政権交代が可能な二大政党的体制を実現するために、あくまでも野党勢力の結集を目指すのか、という問い。
簡単に言えば、政府・与党と手を携えるか、それとも政府・与党に対抗するか

堤 礼実 キャスター:
連合がのぞむ政策が、政治へのアプローチによって可能になるものなんでしょうか?

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
もともと連合は、政権交代が可能な二大政党的体制の実現を方針として掲げ、その実現に向けて活動してきた。
具体的には、立憲民主党と国民民主党を支援する、ということ。憶測を呼んでいる国民民主党の連立政権入りについても、連合が分裂する可能性があるとして、組織内で反対の声も根強い。
ただ、組合員の長期的な減少傾向にある連合が、主要政策で考え方が異なる国民民主党と立憲民主党を一つにまとめることもできないのに、二大政党的体制を実現できるのか、という現実的な問題は残る

政権交代後も実現される関係構築を

堤 礼実 キャスター:
連合が政治と向き合う際に、萱野さんはどんなことを期待しますか?

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
連合は、どのような政権になっても、自らの政策や制度が実現されるような政治との関係構築を目指すべきではないか。
特定の政治勢力とでなければ連携できないと考えることは、政策実現よりもイデオロギーを優先する考え方である。それ自体、連合の組織の分断や弱体化を招きかねないのではないか。
そもそも労働組合は、自分たちが望む政策を実現するために、政治と関係を結ぶという原点に立ち返るべき

堤 礼実 キャスター:
連合による政治へのアプローチや、距離の取り方が、問われているようです
(「Live News α」10月6日放送分より)

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