東京都が低所得世帯に無料配布したお米をめぐり、都への感謝の声も多く聞かれる一方で、「転売」や「他人への譲渡」という“流用”が行われている実態を取材した。
利用する際に、希望がかなわずお米が大量に届いた世帯ではお米が余る状況が生まれていた。
クーポン事業利用者で“お米が余る”
この記事の画像(24枚)取材に応じてくれた70代の女性のこの日食卓にはアジフライとご飯だけが並んでいた。
――これがもらったお米で炊いたご飯ですか?
“おこめクーポン事業”70代女性利用者:
そう。
――味はどうですか?
“おこめクーポン事業”70代女性利用者:
水をちょっと多く入れれば食べられないこともない。
イット!が取材したのは、食品など物価の高騰で“食卓の貧困”にあえぐ高齢者だ。
しかし…
70代女性利用者:
朝・夜・朝・夜かな。(これが)4食分。
小食ということもあって、おかずはなくとも、お米だけは余っているという。
東京都が、低所得世帯を対象に行った「おこめクーポン事業」を利用していたのだ。
この都が無料配布したお米をめぐっては転売が横行していた。
東京都も問題視している。
また追跡取材すると別の問題も生じていた。
お米を他人にあげる“流用”も
“おこめクーポン事業”80代女性利用者:
あげちゃった。持っていきなって。
“おこめクーポン事業”70代女性利用者:
友達にあげた。
「他人にあげる」という“流用”が起きていたのだ。
都内の集合住宅に一人で暮らしているという別の70代の女性は、「おこめクーポン」を利用し、お米5袋、25キロが届けられたという。
しかし…
――いまあるのは1袋?
70代女性利用者:
1袋。あとは全部あげた。4袋あげちゃった。
――どうしてあげてしまった?
70代女性利用者:
子どもが多い人がいるから。
配布されたお米5袋のうち4袋は、食べきる前に虫がわくことを懸念して、知人などにあげてしまったという。
70代女性利用者:
食べきれないんだから売りたくなる人もいるでしょうね。
今回、番組で取材した「おこめクーポン」で無料配布を受けた32人のうち実に9人が「他人にあげる」などの“流用”をしていた。
その背景には、こんな事情もあったという。
“おこめクーポン事業”70代女性利用者:
本当はレトルトのお米がほしかったけど残念でした。なかなか希望通りいかないんですね。
“おこめクーポン事業”70代女性利用者:
みんなに配るしかないですよね。(第一希望じゃないのは)がっかりだなーって。
「おこめクーポン」は、お米や野菜などの9種類のセットから選ぶシステムだが、第1希望が必ず通るわけではない。
希望がかなわず、お米が大量に届いた世帯では、お米が余るという状況も生まれていたのだ。
東京都は、「お米が余った」上での“流用”について、「クーポンにおいては転売も譲渡も禁止にしています。目的が儲けということではない場合は趣旨を踏まえて適切にご対応頂ければと思います」としている。
(「イット!」10月4日放送より)