9月下旬、長野県松本市の上高地で、ニホンザルが川魚を捕まえて食べる様子が撮影された。こうした生態は冬場だけと考えられていたため、夏場では「世界初」と専門家も驚いている。謎が深まったサルの生態、さらに調査を進めたいとしている。
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サルが川魚を捕まえて食べる
水面をのぞくニホンザル。次の瞬間―。
捕まえてくわえたのは川魚だ。
そのまま食べていた。
9月20日朝、上高地の梓川で、山小屋関係者が撮影した。
撮影した涸沢ヒュッテの山口浩一さんによると、川は通常、水深30～40センチあるが干上がっていて、サルは石の下をさぐり、魚を捕まえたという。
「まさか自分の目でイワナが食べられているのを見るとは思わなかったのでびっくりした」と驚く。
20年以上、付近を通っている山口さんも初めて見たという光景だ。
夏場では「世界初」
サルやチンパンジーなどの生態に詳しい専門家も驚いている。
信州大学理学部・松本卓也助教は、「サルの仲間で人以外で生きた魚を食べる場面が少ない。そういう種が少ない中で冬場のニホンザルが捕っていたことは分かっていたが、夏場でも捕っていることが確認されたのは世界初」と話す。
松本助教の研究室の学生が2023年2月、上高地で撮影した映像にはー。
石の上に立って水の中をのぞき込むサル。
すると―。
魚を捕まえすぐに食べた。
その後もびしょぬれになりながらもう1匹。
これまで、サルが魚を食べるのは、木の実などエサが減る冬場を乗り越えるためと考えられていた。
松本助教は、「夏場に今回、捕ったということが分かったので、何かいい影響がニホンザルにとってあるのかもしれないと思う。その可能性も検証しないと、この動画を見て改めて思った。水不足で水位がある程度下がっている状況で捕ったということもかなり大きな発見」と話す。
謎が深まるサルの生態
謎が深まった上高地のサルの生態。
松本助教は、「どういうふうに学習しているのか。お母さんを見て学ぶのか、それとも上手な個体を見て学ぶのかわかったら面白いと思う、魚を捕って食べることがニホンザルの社会にどう影響してるか分かったら面白い」と、さらに調査を進めたいとしている。
（長野放送）
