使わなくなったスマホ、個人情報を取られないか心配で、処分できずに家で保管しているという人も多いかもしれない。
こうした中で伊藤忠商事がフリマアプリ大手・メルカリと業務提携し、中古スマホのデータ消去サービスを9月から始めた。伊藤忠商事の子会社で中古スマホの流通事業を展開する株式会社Belongがサービスを行う。
その名も「あんしんデータ消去」サービスで、メルカリ上で個人間取引が成立した後に、Belongが出品者の端末を預かり、データを消去して購入者に渡す。データ消去の費用は1400円(税込)で出品者が負担。また個人間の取引を不安に感じるユーザーに対し、メルカリ上でスマホ端末の買取サービスも始めている。


そもそも中古スマホ市場は拡大傾向にあり、2022年度の中古スマートフォン販売台数は234万台で、2025年度には300万台規模になるという予測もあるという。
また、総務省が2023年3月に行った利用者意識調査によると、以前使用していた端末を「家で保管している」と回答した人は半数以上(56.6%)おり、その中で「個人情報が心配だから」という理由が26.5%と最も高かった。スマホに残るデータの不安が売却する上でのハードルのひとつになっているようのだ。
企業がしっかりデータ消去をしてくれるのであれば、中古スマホを売りたいという人も増えていくかもしれない。では、そもそもデータ消去は端末の初期化と何が違うのか? また、自分でできるデータ消去の方法はどんなことがあるのか?
株式会社Belongの担当者に詳しく話を聞いてみた。
個人情報の不安などから埋蔵端末が増加
――なぜこのサービスを始めた?
1つ目は、弊社としては既に自社の「にこスマ買取」というブランドで消費者からの買取りを実施していたため、この知見を活用して、CtoCマーケットのより安心・安全な取引に貢献できると考えたためです。
2つ目は、直近では国内での流通台数が増加し市場が活発になってきている一方、個人情報の不安などから埋蔵端末が増加していたり、完全にデータ消去がされていない事例などが出てきているためです。
――中古スマホを売りたい、買いたいという声は多かった?
ここ数年、総務省主導の料金分離プランや、フリマアプリによるリユース市場の成長、そして新品スマホの進化速度が緩やかになってきたことにより、中古スマホの取引が増加してきているというところが市場全体として見られるかと思います。
――サービス開始前から、メルカリでは中古スマホの売買は行われていた?
はい、2022年度にてメルカリ上にて取引が成立したのは53万台となっており、すでに取引が実施されております。
――サービス開始から1カ月ほど経ったが、データ消去サービスの利用者はどのくらいいる?
具体的な数値はお伝えできないのですが、「あんしんデータ消去」サービス提供開始以降、スマホを初めて出品するお客様を中心に利用が広がりつつございます。また、スマートフォン出品時に利用可能なクーポンも9月28日から配布が始まり、今後サービスの利用者はさらに増加すると考えております。
専用のデータ消去ツールを用いて削除
――初期化するのとデータ消去は何が違う?
個人で初期化などによるデータ消去をする場合、一部のスマホでは内部にある写真や動画ファイルなどが完全に消去されず復元されてしまうリスクがあります。また、モバイルSuicaなどで使用しているFelica(フェリカ) ICチップに履歴が残る場合もあります。これらを専用のデータ消去ツールを用い削除対応を致します。
――データ消去の作業が入ることで、購入者の手元に届くのはどのくらい遅くなる?
端末が弊社倉庫に到着してから3~7営業日かかる想定となっております。

――中古スマホは、高いものだといくらで売却されている?
メルカリのアプリ上では、ピンキリというところはございますが、iPhone14Pro Maxなどは30万円を超えるものもございます。
端末のリセットやログアウトは必須
――データ消去作業において自分でできることはある?
一般的には端末のリセット(工場出荷時状態)およびiOSであればiCloud、AndroidであればGoogleアカウントからのログアウトを実施していただくことが必須となります。その上でAndroid端末に関しては、おサイフケータイの初期化、マイナンバーカードの電子証明書失効手続きを行うことも重要になります。
――今後、パソコンのデータ消去などのサービスも考えている?
まずはスマホのデータ消去での需要を確認してからというところになるとは思います。
自分で初期化してデータ消去する場合、一部のスマホではデータが復元されてしまうリスクもあるとのことだった。いらなくなったスマホを安心して売却したい場合は、こうしたサービスを利用する方法もあるようだ。