まるで電池切れを起こしたかのようなエイの姿が、X(旧Twitter)で話題となっている。

“水族館マニア”のえるぱそさん(@elpaso_aqua)が、「なんでエイって電池切れ起こすの?wwww」とのコメントと共に投稿したのは23秒の動画。静岡・浜松市にある「浜名湖体験学習施設ウォット」で撮影したそうで、1匹のエイが優雅に泳いでいる様子が映っている。

ヒレをひらひらと優雅に泳ぐエイ(提供:えるぱそさん)
ヒレをひらひらと優雅に泳ぐエイ(提供:えるぱそさん)
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エイは左右のヒレをひらひらと器用に動かしながら、上に向かって泳いでいる。上にあがるにつれてキラキラした水面もエイの背景に映り、優雅な泳ぎがどこか神秘的に見える。

優雅に泳いでいたが、動きを止めた(提供:えるぱそさん)
優雅に泳いでいたが、動きを止めた(提供:えるぱそさん)

しかし、水槽の上部まで泳いだエイがいきなり動きを止めた。そして、そのままスーッと水槽の下へ落ちていくではないか。

そのまま落下していく(提供:えるぱそさん)
そのまま落下していく(提供:えるぱそさん)

エイはヒレを動かすことなく、流れるように落ちていき、そのまま水槽の底にぶつかった。1度床で軽くバウンドするかのように跳ね上がる様子からは、落下の勢いを感じる。

ちなみに、えるぱそさんによると、落下したエイはその後「今何かありました?」というかのように、何事もなく普通に泳いでいたとのことだ。

床に衝突。勢いがすごかったのか軽くバウンドしていた(提供:えるぱそさん)
床に衝突。勢いがすごかったのか軽くバウンドしていた(提供:えるぱそさん)

ピタリと急に動きを止めた姿は、確かに“電池切れを起こした”かのように見える。

このエイの様子には「初めて見ました!本当に何が起こったんだってくらい一気に電池切れちゃいましたね」「こんな急に電池切れするんですね!可愛いです」との声が寄せられており、多くの人が驚いているよう。投稿は1万7000のいいねが付く話題となっている(10月3日時点)。

担当者「ほぼ毎日見ることが出来ます」

その後は普通に泳いでいたとのことなので、体調不良などではないようだ。では、一体なぜ落下していたのだろうか? 普段からよく見る光景なのだろうか?

浜名湖体験学習施設ウォット・飼育主任(1F担当)の工藤隆馬さんに話を聞いてみた。


ーー落下しているエイについて教えて。

和名:アカエイ 属種:トビエイ目アカエイ科アカエイ属
生息域:砂泥を好みます。浜名湖は砂地が多く、アカエイにとって適した環境です。
特徴:背中が褐色(茶)で腹側縁辺に黄色の縁取りがあります。砂にもぐり身をひそめ、砂にもぐる貝類や魚類などを捕食します。

アカエイ(提供:浜名湖体験学習施設ウォット)
アカエイ(提供:浜名湖体験学習施設ウォット)

ーー普段からよく見る光景?

ほぼ毎日見ることが出来ます。大水槽を15分ほど眺めていれば1回は似たような行動が観察できると思います。


ーー勢いよく落下しているけど大丈夫なの?

この行動を起こして傷が出来たことがないので大丈夫だと思います。

食事の様子(提供:浜名湖体験学習施設ウォット)
食事の様子(提供:浜名湖体験学習施設ウォット)

ーーその様子を見て、どう思っている?

ガラスに寄ってエサを食べていることが多いので、その行動を見かけるとお腹が空いているのかなと思っていました。

滑ってしまう?飼育環境ならではの行動

ーーなぜ落下していたの?

アカエイは常に泳ぎ回っている魚ではなく、砂に潜ったりして休憩します。また、泳ぎを急に止めることもあります。そのタイミングで水槽のアーチ状の部分に乗っていた時、そのまま滑るように落下したのだと思います。

別日の落下中の様子(提供:浜名湖体験学習施設ウォット)
別日の落下中の様子(提供:浜名湖体験学習施設ウォット)

ーーでは、自然界では見かけない行動ということ?

当館の飼育環境ならではの行動です。動画内の水槽正面は半アーチ状のアクリルガラスになっており、エイのような面が広く底を這うような魚は、水槽上部のアクリルガラスに乗ってしまうと滑ってしまうのだと思います。

水槽正面は半アーチ状のアクリルガラスになっている大水槽(提供:えるぱそさん)
水槽正面は半アーチ状のアクリルガラスになっている大水槽(提供:えるぱそさん)

ーーSNSで話題となっているが、それに対してはどう感じている?

当館ではよく見る行動であまり気にしていなかったので、話題になったのはとても意外でした。飼育員がよく見る光景もお客さんからすれば興味のあることだと感心しました。


ーー最後にエイの魅力を教えて。

エイは当館で人気のある魚であり、腹部側からみると鼻孔と口が顔のように見えて、とても可愛いです。当館の給餌の際にはガラスにエサを押し付けて食べる様子も人気があり、魅力のひとつです。

当館では子供のアカエイも展示しているため、大人と子供を比較して観察できます。エイを見るなら是非ウォットへお越しください。

大水槽にはアカエイとエイの仲間のホシエイが飼育されている(提供:浜名湖体験学習施設ウォット)
大水槽にはアカエイとエイの仲間のホシエイが飼育されている(提供:浜名湖体験学習施設ウォット)

なお、浜名湖体験学習施設ウォットでは、アカエイを大水槽に1匹、別の水槽で3匹を飼育しているという。

エイの“電池切れ”は同施設の飼育環境ならではの姿だった。落下している姿は毎日見られるということなので、訪れた際にはこの可愛らしい様子に注目するのも楽しそうだ。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。