バッテリーを内蔵し充電して使う機器も増えたが、日常の中にはテレビやエアコンのリモコンを始め、時計やおもちゃなど、“乾電池”を使用するものはたくさんある。

その一方で、もしものためにと買った乾電池がずっと部屋の中にあったりしないだろうか。そしていざこの乾電池と交換しても、未使用のはずなのにすぐに使えなくなってしまったという経験をした人もいるはずだ。

単3乾電池の本体に表示されている使用推奨期限
単3乾電池の本体に表示されている使用推奨期限
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実は、乾電池には「使用推奨期限」があるのだ。本体やパッケージなどに表示されているのだが、知らなかったという人もいるかもしれない。

「使用推奨期限」とは、性能劣化が少なく、未使用の乾電池を安全で最適な性能で使うことができる期限のこと。各電池メーカーがこの期限内で使用してもらうために表示しているという。

性能劣化が少ないということは、未使用の状態でも消耗しているということなのだろうか?適した保管方法はあるのだろうか?

乾電池についての疑問を、一般社団法人電池工業会の広報担当者に聞いた。

未使用でも容量が減少・劣化する可能性

ーーなぜ乾電池には「使用推奨期限」があるの?

乾電池は未使用でも内部で化学反応が進行し、電池の容量が減少していく現象が起こります。これを「自己放電」といいます。また、使用推奨期限を過ぎると、乾電池を構成する部材が劣化する可能性もあります。安全で最適な性能でご使用いただくために「使用推奨期限」を表示しています。


ーー「使用推奨期限」はどうやって決めている?

「使用推奨期限」は、各電池メーカーが独自に定める性能基準と試験方法に基づいて決められており、表示しています。

国際電気標準会議(IEC)や日本産業規格(JIS)では電池の特性を規定している情報も存在します。しかし、具体的な「使用推奨期限」までを規定するような明確な上限や共通基準は存在しません。各メーカーはこれらの規格を参考にしながら独自に製品を開発し、乾電池ごとに異なる性能や寿命特性を考慮しつつ、「使用推奨期限」を設定しています。

(左:単4電池 右:単1電池)
(左:単4電池 右:単1電池)

ーー「使用推奨期限」が過ぎた乾電池を使うとどうなる?

使用推奨期限が過ぎた乾電池は容量が低下している場合があります。規定の能力を発揮できないことや液漏れ等が発生することがあり、機器の故障に繋がる場合があります。そのため使用推奨期限内に使用することをおすすめしています。

購入状態で保管されることを推奨

ーー適した保管方法を教えて。

乾電池を適切に保管するためには、直射日光や高温多湿の場所から遠ざけて保管してください。直射日光や高温の環境では、電池が高温になり、電池内の化学反応が活性化されて自己放電が進むことがあります。また、乾電池内部でガス発生のリスクが高まり、最悪の場合には液漏れする可能性もあります。多湿環境では、電池が結露等によりサビが発生し、サビが原因で短絡(ショート)を起こす可能性があります。

そして、長い間使用しない場合は機器から取り出し、取り出した電池は、次に使用するときに新旧混用を避けるため、新品の乾電池と分けて保管してください。

また、1つのケース内で電池同士が互いに接触したり、導電性の物質と接触してショート(短絡)しないように注意してください。プラス端子とプラス端子を揃えて保管されることを推奨します。

未使用で保管する場合は、購入状態で保管されることを推奨します。包装パックに入っている状態であれば、乾電池が外部の要素から保護されており、外部ショートや汚染のリスクからも守られています。そのため、包装パックのままで保管することを推奨します。

包装パックのままの保管を推奨している
包装パックのままの保管を推奨している

ーー「使用推奨期限」を過ぎた電池と使用済みの電池を捨てる方法は同じ?

電池の捨て方は同じです。電池の端子部分にテープを貼り、絶縁してから廃棄物として処理してください。他の金属や電池と触れるとショート(短絡)し、発熱、発火、破裂などの事故を起こす恐れがあるためです。

ただし、市町村によってゴミの捨て方が異なる場合がありますので、地域ごとの指示に従ってください。

使い終わった乾電池は…(提供:電池工業会)
使い終わった乾電池は…(提供:電池工業会)

家で保管している乾電池は大丈夫だろうか?長い期間使用していない機器内に乾電池は入れっぱなしになっていないだろうか?いま一度「使用推奨期限」をチェックして、管理を改めてみると安心かもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。