80歳を超えた「海女」が福井・坂井市の海で亡くなった。それも約1カ月間で2人、死因はともに急性の循環器疾患だった。高齢化による事故のリスクが高まる一方、「海は楽しみで生きがい」と生涯現役を貫く女性も多い。
漁業従事者の65歳以上の割合は増
8月20日、坂井市三国町の海でサザエ漁をしていた89歳の海女が死亡した。さらに約1カ月後の9月13日にも、三国町でサザエ漁をしていた83歳の海女が死亡した。この時期はサザエのほか、ウニやアワビなど豊かな海産物を取ることができる。

5年ごとの国の調査によると、福井の漁業従事者のうち65歳以上が占める割合は増加している。2013年が37%だったのに対し、2018年には43%に。実に5人に2人が高齢者になっている。

現在、39人の海女が三国町の雄島漁協に所属し、平均年齢は65歳。毎年、若い世代も入ってくるが、多くが高齢者だ。
米ケ脇地区で海女をとりまとめるリーダー「海女頭」に実情を聞いた。

鹿倉幸子さん:
実際に(海女は)年寄りばかりだから気にはしている。年寄りがなぜ海に入るかというと、楽しみ、生きがいしかない。楽しみをしたくて海に入る、それが日常的になっている

年齢を重ねた海女は、漁の場所は沖合から浅瀬に移動する。80歳以上にもなると、深くは潜ることはしないという。
「足がついて獲物があったら潜る程度。泳ぐというより歩く」と鹿倉さんは言う。
「歳だから海に入るなとは言えない」
高齢になると急性疾患のリスクは高まる。海女たちはあくまでも自己責任のもとで、海に潜っている。事故を防ぐためには、高齢海女も含め全員で居場所などを確認しながら漁をすることが重要だと話す。

鹿倉幸子さん:
一緒に海に入って、自分で考えて周りの人と一緒に行動しなければならないと常に思っている。陸に上がろうと声掛けして、みんなで上がる。それをするしかない。歳だから海に入るなとは言えない

三国町の別のエリアでは83歳の海女が漁獲量でトップを誇っている。高齢者は事故のリスクが高い一方、それを覚悟のもとで生涯現役を貫きたいという海女たちがいる。
(福井テレビ)