9月17日(日)に神奈川・鎌倉市でアウトリガーカヌーの全日本選手権が開催され、8月にハワイ・マウイ島で起きた山火事被害への支援も行われた。

大会後に撮影された集合写真
大会後に撮影された集合写真
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アウトリガーカヌーとは、片側に付いている「アマ」と呼ばれる浮きでバランスを保つのが特徴的なカヌーで、ハワイでレジャーやスポーツとして人気を博している。

子どもや足が不自由な人でも楽しめる

17日に一般社団法人・日本アウトリガーカヌー協会(JOCA)が主催した第2回全日本アウトリガーカヌー選手権では、小学2年生から70代までの246人41チームがそれぞれ息を合わせてタイムを競った。幅広い年代の方に楽しまれているだけでなく、足が不自由な方でも楽しめるのが魅力だという。家族で始める人も多く、今回初めて出場した子どもも多くいた。

はじめて参加した小学2年生の選手
はじめて参加した小学2年生の選手

小学2年生の選手:
ほかのチームに負けたくないと思っていたら1位になれた。とてもうれしかったです。

ゴールした選手とハイタッチ
ゴールした選手とハイタッチ

8月31日〜9月4日の5日間、ハワイで世界最大の大会が開かれ、地元のチームが有利な条件の中で日本勢最高の5位に輝いた選手も出場した。

ハワイで5位の選手(58)
ハワイで5位の選手(58)

世界最大の大会で5位に輝いた選手(58):
ハワイなんかはもう70歳、80歳のおじさんやおばあさんもがっつりこいでいるので、これから楽しみのスポーツです。

マウイ島の山火事支援に約40万円

ハワイがルーツともいわれるスポーツのため現地との交流が深く、大会期間にはハワイの山火事への募金箱も設置され支援が呼びかけられた。

ハワイ・マウイ島の山火事被害への募金箱
ハワイ・マウイ島の山火事被害への募金箱

集まった約40万円がマウイ島に届けられるという。

ハワイ大会にも参加した選手(54)
ハワイ大会にも参加した選手(54)

ハワイ大会にも参加した選手(54):
(ハワイの人にとって)カヌーは生活の一部。いろんな生活の基盤と一緒にカヌーも立て直して、早くこげるようになってほしいですね。

ハワイの人たちとは一緒に練習をしたり、大会のときにカヌーを借りたりと、交流が深い人も多いようだ。

今回で2回目となるこの大会。JOCA代表理事の尾花 充さんは「全国各地からチームが集まるこの大会が、アウトリガーカヌーの更なる普及につながり、将来は日本各地で開催出来るように願っている」と語っていた。
 

【取材後記】

スポーツを通じた人と人との“つながり”を感じた今回の取材。アウトリガーカヌーの取材は、6月に逗子海岸で行われた体験会以来2回目で、そのときにお会いした方とも再会でき、「また来てくれたんですね」と話しかけて下さりとても嬉しかった。

前回の体験会では関東近郊から来ている人ばかりだったが、今回は全日本大会ということで関東だけでなく、関西、静岡、奄美大島など遠くから参加している人も多くいた。

カヌーは大きな乗り物のため持ち運びは困難。そのため遠方から参加するチームは鎌倉のチームにカヌーを借りて参加していた。カヌーをスタートラインに並べるときも、チーム同士で協力しながら運ぶ姿があった。

スポーツの大会といえば緊張感でピリピリしているイメージもあったが、アウトリガーカヌーならではの“助け合いの精神”を感じ、とても和やかな雰囲気だった。

同じTシャツを着るチームの枠を超え、アウトリガーカヌーを通じて大会がひとつになる時間だった。ハワイの人たちとのつながりもこのように生まれていったのだろう。

尾花代表理事が閉会式の挨拶で「子どもがたくさん参加していたことに感動した」と話しをすると、どっと会場が沸いた。

大人の部は3位以上のチームだけが表彰されたが、小学生以下は競技に参加した全員が表彰を受け、会場から大きな拍手が送られた。子どもを大切にしているのだと感じた。

ハワイでは小さい頃からカヌーを漕いでいる子どもが多いという。日本では2005年ごろから知られるようになったスポーツのため、長く続けていたとしても十数年で、数年しか経験がない人がほとんどだ。

今の子どもたちがアウトリガーカヌーの魅力に触れ、パドルを漕ぎ続けていけば、今後の世界大会で日本勢がもっと活躍するようになるかもしれない。

アウトリガーカヌーの精神が子どもたちに引き継がれ、次世代につながっていく。

取材・執筆:杉山仁実 
(「Live News days」9月18日放送より 一部情報を追加しています)

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