円安が加速し、1ドル150円超えも見えてきている。現在の円安水準が続いた場合、政府の物価高対策があったとしても、1年間の家計負担は平均で10万1500円増えるとされる。

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円安が加速していることについて、智田裕一解説副委員長がお伝えする。

円安加速でさらなる値上げラッシュ

21日午後の円相場は、1ドル148円台前半の円安水準だ。午前には、一時148円台半ばまで円安が進んでいた。

なぜ円安が進んでいるかというと、金利の高い米ドルの方が、金利の低い日本円よりも利回りを見込める。そのため円相場では、円を売ってドルを買う動きが強まって、円安が進んでいる。

市場関係者の間では、2022年10月に32年ぶりの円安水準を更新した「151円90銭台」という水準も意識されつつある。

円安が進むと、私たちの暮らしにも様々な影響が続くことになる。
輸入価格の上昇は、これから冬場を迎える電気・ガス料金などエネルギー価格に影響する可能性があるほか、食料品の値上げがさらに続くことも想定される。

みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストの試算では、現在の円安水準が続いた場合、政府の物価高対策があったとしても、1年間の家計負担は、平均で10万1500円増えるということだ。

2023年の年末商戦は、コロナ禍からの消費の本格回復が期待されているが、都内のケーキ店からはこんな心配の声が上がっている。

東京都中央区にあるパティスリーISOZAKIは「原料のチョコ・小麦・乳製品の輸入価格などが値上げに加え、取引先からは10月からさらに値上げの連絡もきている」としたうえで、「国内の原料も探しているが、海外の方がコクがあったり味が良いため、一概に国内の物に変えられないのが現状」と話している。

「去年までは、クリスマスなどの行事を楽しんでいただきたいという思いから控えていた値上げだが、今年はもう値上げせざるを得ない状況まできている」と悲痛の声を上げている。

海外旅行の料金が1.5〜2倍に

円安が進むと、年末に海外旅行に行こうと思っている人にとっても打撃となる。

空港・旅行アナリストの鳥海高太朗さんによると「現在でも、コロナ前と同じプランで、ハワイやアメリカ本土、ヨーロッパを旅行しようとすると、円安や物価高の影響で1.5倍~2倍程度の料金がかかる」と話す。
その上で、「年末年始にかけては、円安が進んだ分だけ、さらに値上がりする可能性がある」と話している。

日銀が金融政策を決める会合は22日までで、終了後に植田総裁が会見を開く予定だ。
前回、金融政策の大枠を維持しながらも、長期金利が一定程度上がることを認めた日銀だが、果たして将来さらに金利が上がっていく可能性が視野に入ってくるのか。
円相場の動きにも大きく影響するだけに、会合での議論の内容や、植田総裁が会見で何を語るかに市場関係者の関心が集まっている。
(「イット!」 9月21日放送より)

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