中国内陸部の湖北省・武漢市の公園で撮影されたというある映像が、中国のSNSにアップされた。

日本の服装だと“勘違い”した公園スタッフが、注意をしている
日本の服装だと“勘違い”した公園スタッフが、注意をしている
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公園スタッフ:
日本人の服を着るな。

女性:
これは日本人の服装ではない。

公園のスタッフが「日本の和服を着ている」として、退去を命じている。

しかし、女性らが着ていたのは、中国の伝統的な衣装である“漢服”だ。
公園スタッフは勘違いをしているにも関わらず、女性らを公園から追い出したという。

「お前は中国人だぞ!」“浴衣”の女性を拘束

このところ、服をめぐるトラブルがみられる中国。
2022年8月には蘇州(そしゅう)市で、ピンクの浴衣を着た中国人女性が警察に連行される騒ぎが起きた。

このところ中国では、服装を巡るトラブルがみられる
このところ中国では、服装を巡るトラブルがみられる

以下は、中国SNSにアップされたやりとりだ。

女性:
私はここに写真を撮りに来ただけです。

警察:
君が中国の服を着ていれば何も言わない。そうだろ!でも君が着ているのは日本の浴衣だ!
中国人としてどうなんだ!お前は中国人なんだぞ!お前は中国人ではないのか!?

浴衣姿の女性を怒鳴りつける警察官(2022年8月)
浴衣姿の女性を怒鳴りつける警察官(2022年8月)

「浴衣を着ている」という理由で警察に怒鳴りつけられる女性。
一方的な対応は、さらに続く。

女性:
大勢の前で私を怒鳴ってもいいの?

警察:
いいんだよ。

女性:
なんで?

警察:
命令したことに従わないから。

女性:
どんな理由で?

警察:
騒乱挑発罪だ。

女性:
服を着ているだけ…

警察:
分かった、俺と一緒に来い。

女性は、警察に拘束されてしまった。

そんな中で、今ある法案が…
そんな中で、今ある法案が…

日本の着物を着たことでトラブルが起きる中、今、ある法案が議論を呼んでいる。

服装巡り法改正も?具体的な定義なく…政府による“統制強化”か

中国の国会にあたる全人代は、“中華民族の精神を損なう服装を着用した場合、違法とみなす”とする法改正の審議を進めている。

問題の服装を公の場で着用した場合、最大で15日間拘束され、5000元(日本円で約10万円相当)以下の罰金を科されるという。

しかし改正案には、具体的な服装の明記はない。

中国・北京にいた中国国民に話をきくと「具体的な(服装の)定義をしなければ、公務を執行する側のただの判断任せになってしまう」「もっと(定義を)明確にすべきだ。行き過ぎた公務執行になりかねない」といった声が。

2023年8月、日本アニメのコスプレをしたとみられる若者らがトラブルに見舞われた
2023年8月、日本アニメのコスプレをしたとみられる若者らがトラブルに見舞われた

四川省・成都市にあるショッピングモールでは8月、日本アニメのコスプレをしたとみられる若者が、トラブルに見舞われた。

コスプレ姿の若者らを怒鳴りつけ、詰め寄る女性
コスプレ姿の若者らを怒鳴りつけ、詰め寄る女性

(以下、中国SNSより)
女性:
外国に憧れて媚びを売っている!
あんたたちはまともな教育を受けていないでしょう?親の代わりにしつけてあげるわ!

女性が、コスプレ姿の若者に体当たり
女性が、コスプレ姿の若者に体当たり

若者のコスプレ姿に激怒した女性が、体当たり。
警察が駆けつける騒ぎに発展したという。

中国に詳しい専門家は、今回の改正案について、日本だけに向けられたものではないとしながらも、政府による“統制強化”だと指摘する。

神田外語大学 興梠一郎 教授:
異質なものを排除して統一していこうと。和服というのがやり玉にあげられている。
(国民に)おとなしくしなさい、という意味なんですよね。その例として、「中華民族」という言葉が使われている。 
(「イット!」9月19日放送より)

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