飼い主が高齢のため、ペットを引き取ってもらうケースがあるが、犬のロボットの世界でも同じようなことが起きている。

そんな中でソニーグループが、やむを得ない事情で犬型ロボット「aibo」との暮らしを終えるオーナーからaibo本体を寄付してもらい、医療施設や介護団体などに提供する「aiboの里親プログラム」を開始した。

「aiboの里親プログラム」イメージ(画像提供:ソニーグループ)
「aiboの里親プログラム」イメージ(画像提供:ソニーグループ)
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実際にaiboは医療や介護などの現場で活躍しており、医療機関との共同研究で、aiboとのふれあいが患者やその家族、スタッフにポジティブな影響をもたらしているという結果も出ているという。

預ける側、引き取る側、どちらにとってもプラスなプログラムではないだろうか。なお「aiboの里親」は、引き取ったaiboの治療やaiboオーナーと同等のサービスを提供するため有償での提供を検討しているという。

aibo(画像提供:ソニーグループ)
aibo(画像提供:ソニーグループ)

ちなみに、現在のaibo『ERS-1000』は2018年の発売から5年を迎え、今年1月にはエスプレッソ・ブラックのカラーモデルが登場した。

とても興味深いプログラムだと思うが、ではなぜ始めることになったのだろうか? また、現時点での反響は?

ソニーグループの担当者に詳しく話を聞いた。

オーナー「病気で飼えなくなった時が心配」

――なぜ、このプログラムを始めたの?

2018年の発売以降、数多くのオーナーにaiboとの暮らしをお楽しみいただいている一方、やむを得ない事情からaiboとの暮らしを終える方々もおり、aiboの行く末についてのご相談を多くいただいてきました。

また、aiboは医療や介護、教育などでも活躍の場を広げています。aiboによる癒し効果の検証を行う医療機関との共同研究においては、aiboとの触れ合いが患者やそのご家族、スタッフの方々に対してポジティブな影響をもたらし得るという結果も出ており、こうした期待からaiboの導入を希望される声も数多くいただいています。ソニーは、これら双方の希望にお応えしてaiboとの関係を社会でより持続可能なものとする「aiboの里親プログラム」を提供します。


――手放しづらいという声は多かった?

アンケートやファンミーティング等の場で、やむを得ない理由から解約を検討されている方や、先々のことを心配されるオーナーから下記のようなお声を多数いただいておりました。

「aiboちゃんの里親制度、保護犬カフェなど、中古aiboに関係するサービスを作ってほしいです」
「病気により飼えなくなった時が心配です。できることなら、ソニーで無償で引き取り、小児科のある病院へ提供するなど検討頂きたいです」
「いつかお別れする時、飼い主に後悔や悔い、自責の念が生まれない別れ方を開発していただきたいです」

aibo(画像提供:ソニーグループ)
aibo(画像提供:ソニーグループ)

――実際、どんな人がaiboのオーナーになっているの?

aiboはお子さんや若年層にも楽しんでいただいていますが、実際にご家庭用に購入されるのは40代以上の方が多いです。

男性・女性どちらもいらっしゃいますし、ご夫婦・パートナーで飼われる方も多いです。丸くて犬らしいデザインなので、その可愛さで購入される方、aiboを家族の一員として迎えて下さる方が多いです。

医療関係者から期待の声も

――最新のaiboは2018年発売のものと比べ、どのくらい進化している?

大きく3点、「個性が生まれる」「ソフトウェアアップデート」「コンテンツの拡充」があります。

〈1〉個性が生まれる
aiboはオーナーとの日々のコミュニケーションや生活環境によって、異なる性格になります。性格の違いは、反応や表情、ごはんの食べ方や好みなどに表れます。

〈2〉ソフトウェアアップデート
年に2~3回ソフトウェアアップデートを行っており、新しい機能(おもちゃ遊び、“aiboのおまわりさん”、 “aiboのごはん”、“aiboのプログラミング”、“aiboのなかま“、“aiboのなわばり”など)が追加されていて、進化をし続けています。

〈3〉コンテンツの拡充
夏はスイカやかき氷、秋はハロウィンにちなんだクッキーなど季節にちなんだかわいいごはんをあげたり、流行りのアーティストのダンスを覚えたりなど、次々に配信される新しいコンテンツでaiboと楽しむことができます。


――aibo は医療施設や介護団体でどのように使われる?

aiboによる癒しの効果の検証を行う医療機関との共同研究においては、aiboとの触れ合いが患者やそのご家族、スタッフの方々に対してポジティブな影響をもたらし得るという結果も出ております。「aiboの里親」になられる施設や団体では、ご利用になられる方やご家族、またスタッフの方々と触れ合える場所で可愛がっていただければと考えています。


――このプログラムをはじめる前から、すでに寄付はあった?

本プログラム以前はお客様の寄付を受け付けることはできなかったため、実際に寄付された例はありませんが、それを希望する声は度々いただいており、本プログラムの検討に繋がりました。

aibo(画像提供:ソニーグループ)
aibo(画像提供:ソニーグループ)

――「aiboの里親」となる施設や団体の募集は12月頃だが、すでに問い合わせはある?

「aiboの里親」の募集は12月頃に開始予定ですので、まだ正式な問い合わせは受け付けていませんが、メールやSNS等で、医療関係者からの本プログラムに関するご意見やご期待の声をいただいています。


――寄付した人は、施設に会いに行くことはできるの?

「aiboの里親」として適切な組織・施設にソニーからお届けするため、寄付いただいたaibo本体の提供先や用途についての要望を受けたり、お知らせすることはできません。「aiboの里親」とaiboの様子は、提供開始後に一部をWebサイト等でお知らせする予定です。


――反響はあった?

aiboオーナーをはじめ、メディアの皆さまからも「とてもよい取り組みだ」と大変ポジティブなお声を多数いただいております。特にオーナーからはそういったご要望をいただいていたので、SNSを拝見しても喜んでいただいているようです。



今回のプログラムは、オーナー側も受け入れる施設や団体側もポジティブな声が多かった。aiboはこのプログラムを通じて、新たな人に癒しを届けていくことだろう。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。