中国の李尚福国防相が動静不明になって2週間以上が経過した。海外メディアは、李尚福国防相が国防相としての任務を剥奪されたと報じている。

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李尚福国防相に解任報道が出たことについて、国際取材部の垣田友彦部長がお伝えする。

国防相が突然“動静不明”に

李尚福国防相は8月29日の「中国アフリカ平和安全フォーラム」出席以来、動静が伝えられていない。

こうした中、14日にイギリスのフィナンシャル・タイムズ紙は、複数のアメリカ政府高官の話として「米政府が李尚福国防相が中国当局の調査対象となり、国防相としての任務を剥奪されたと結論づけた」と報じた。

中国では、外相を務めていた秦剛氏が約1カ月にわたり動静が伝えられず、そのまま7月に解任されていた。

李尚福国防相に解任報道が出たが、なぜいきなり動静不明になってしまうのだろうか。

日本では、政治家などに何らかの疑惑があったら、その時点で報道される。

しかし、中国ではメディアは「党の宣伝機関」という位置付けなので、そうした報道が事前にされることはまずない。そのため、今回のようにいきなり動静が途絶えてしまう。

ただし、普段から動静が伝えられる指導者や幹部で長期間動静が途絶えるというのは珍しいことと言える。

今回、2週間以上動静不明になっている李国防相については、フィナンシャル・タイムズ紙が「解任された」と伝えたのみで、中国メディアは伝えていない。

ただ、汚職に関する疑惑が取り沙汰されている。

中国は報道が厳しく統制されているため、当局が公式に発表するまでは、はっきりした情報が表に出てこない。そのため、当局が何らかの事案で摘発された時点で情報が出るのが一般的だ。

「ロケット軍」でも異変

中国では、軍を巡ってもう一つ異変があった。

それが「ロケット軍」の幹部交代だ。ロケット軍とは2015年に創設された部隊で、戦略核ミサイルなどの運用を行っている。

ロケット軍は、7月に司令官と政治委員が交代したという。

中国にとって、戦略核ミサイルを扱うということはかなり重要な部隊だが、そこでも異変が起きている。

このロケット軍は、習近平国家主席の力を入れて作った部隊だ。対アメリカ・対台湾という視点から考えると、かなり重要なことは間違いない。

交代の理由についてははっきりとわかっていないが、中国では、軍を巡って過去にも大規模な汚職事案で幹部が摘発されてきたことがある。

今回も同様のケースという可能性はある。

習主席は、インドで行われたG20サミットを欠席した。

G20の欠席には、領有権を争うホスト国インドとの関係との見方もあるほか、中国国内の現在の深刻な経済状況や、掌握している軍の不安定な動きが背景にある可能性はある。中国が内向きになっていることの現れかもしれない。
(「イット!」 9月15日放送より)

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