北朝鮮の金正恩総書記が13日、ロシア・アムール州にあるボストーチヌイ宇宙基地に到着。
日本時間の午後、現地メディアが専用列車から降りる金委員長の姿を伝えた。スーツにネクタイの金委員長をプーチン大統領は「会えてうれしい」と握手で出迎えた。

金総書記を出迎えるプーチン大統領(13日 ロシア・アムール州)
金総書記を出迎えるプーチン大統領(13日 ロシア・アムール州)
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その後、場所を移して会談した際、プーチン大統領は金総書記に対して「今回の会談は北朝鮮の建国75年、露朝間の外交関係樹立75年という特別な時期に行われている」と指摘。「我々は経済協力や人道関係、地域情勢などについて話し合う必要がある」と述べた。

(写真:ロシア大統領府HP)
(写真:ロシア大統領府HP)

アムール州到着に先立ち北朝鮮メディアは13日、金総書記が12日に北朝鮮との境界に近いロシアのハサン駅に到着し、地元知事らの出迎えを受けたと報じていた。
金総書記は「4年ぶりにロシアを訪問することになり、うれしく思う」と謝意を示し、新型コロナの感染拡大以降、初の外遊でロシアを訪れたことは、「朝ロ関係の戦略的重要性」を示したものだと述べたという。
金総書記がロシア入りした後、その発言が報じられたのは初めて。

ボストーチヌイ宇宙基地とは

ボストーチヌイ宇宙基地は「東方経済フォーラム」が行われている(9月10日~13日)ウラジオストクから北西に1000キロあまり、極東アムール州に2016年に完成した宇宙基地(「ボストーチヌイ」はロシア語で「東方」「東の」の意)。

ロシアの宇宙事業といえば、日本人宇宙飛行士らを乗せた宇宙船の歴代「ソユーズ」を打ち上げてきたバイコヌール宇宙基地があるが、その所在地はカザフスタンで、ソ連崩壊後はロシアにとって「国外にある基地」となってしまった。このため、宇宙開発の拠点を「国内」に作ろうとプーチン大統領肝いりで建設されたのがボストーチヌイ宇宙基地ということになる。
ボストーチヌイ宇宙基地からの初のロケット打ち上げに成功したのは2016年4月で、プーチン大統領も立ち会った。

2016年4月 ボストーチヌイ宇宙基地を視察したプーチン大統領(写真:ロシア大統領府HP)
2016年4月 ボストーチヌイ宇宙基地を視察したプーチン大統領(写真:ロシア大統領府HP)

また、プーチン大統領が2022年2月にウクライナ侵攻の約2カ月後にベラルーシのルカシェンコ大統領を招いたのもこのボストーチヌイ宇宙基地だった。

2022年4月 ベラルーシ・ルカシェンコ大統領(左)とプーチン大統領(写真:ロシア大統領府HP)
2022年4月 ベラルーシ・ルカシェンコ大統領(左)とプーチン大統領(写真:ロシア大統領府HP)
小川雅己
小川雅己

FNNプライムオンライン担当 元モスクワ支局長(延べ9年)。2003年のイラク戦争ではFNN特派員としてアメリカ陸軍第101空挺師団に従軍。