9月11日、東京・練馬区の公立中学の校長が、元教え子の女子生徒のわいせつな画像を所持した疑いで逮捕された。わいせつな画像は、事もあろうに校長室に保管されていた。
校長は「生徒の下半身を触っている画像を持っていたことは間違いない」「再び見ることがあると思い保存した」と容疑を認めているという。

逮捕された校長は校長室にわいせつ画像を保管していた
逮捕された校長は校長室にわいせつ画像を保管していた
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また同じ11日、大手進学塾「四谷大塚」の元講師の男も、教室で教え子の9歳の女の子の両足を掴んで持ち上げ、下着が見えるような体勢にして写真を撮った疑いで、再逮捕された。元講師は「ほかにも生徒を十数人盗撮した」と供述しているということだ。

教育関係者による子どもへのわいせつ事案が後を絶たない中、導入に向けて議論が進んでいるのが、日本版DBSと呼ばれる制度だ。

本家はイギリスで、DBSはDisclosure and Barring Service=前歴開示および前歴者就業制限機構を指す。イギリスでは、子どもと関わる仕事への就職希望者はDBSを通じ、性犯罪歴がないことを証明するいわゆる「無犯罪証明証」の交付を受け、雇用主側に提出する必要があるのだ。

こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者の会議 
こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者の会議 

9月5日に開催された政府の会議では、有識者がまとめた「日本版DBS」案が発表されたが、その案が実現した場合、上記の「わいせつ教育者」はどうなるのだろう?

わいせつ校長は再就職が難しく

日本版DBSの有識者案では、中学校に就職するには「性犯罪歴がない」事の確認が義務化される。就職希望者は、性犯罪歴がないとの証明書を、犯罪歴を記録した公的機関などから入手し(※証明書の発行方法は検討中)、就職先へ提出しなければいけない。

有識者の案では学校や保育所の場合、就職の際の性犯罪歴の有無の確認は義務化される
有識者の案では学校や保育所の場合、就職の際の性犯罪歴の有無の確認は義務化される

対象となる犯罪歴は「裁判所による事実認定を経た性犯罪の前科」が対象。条例違反については対象に含まれるのかが検討されている。

今回の校長の場合は、児童ポルノ禁止法違反の容疑で逮捕されていて、この先裁判所で有罪が確定すれば、再び教職に就くことは出来なくなる。

では、「わいせつ塾講師」はどうなるのだろうか?

塾講師の性犯罪歴の有無確認は義務ではない

有識者会議の案では、民間企業である学習塾の講師については、就職する際の「性犯罪歴が無い」事の確認は、義務では無い。その代わりに「認定制度」が検討されている。

国から認定を受けた学習塾などの事業者に限り、性犯罪歴の有無の確認が義務づけられるのだ。
認定事業者は国が公表する。

ユーザー側とすれば、国に認定されている学習塾を選べば、子どもを性犯罪歴がない講師に預けることが出来る形だ。

学習塾やスイミングクラブなどは認定制度が検討されている
学習塾やスイミングクラブなどは認定制度が検討されている

従って再逮捕された塾講師は、認定された学習塾では、再び講師になることは出来ない。

一方で、未認定の学習塾の場合、性犯罪の前歴確認は義務化されていないため、就職できる可能性は残る。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。