コロナ禍で少なくなったコミュニケーションを強化することで、若手社員の離職を食い止めることに成功した会社がある。その独自の試みに密着した。

社員の“悩み”フォローする“専門グループ”立ち上げ

自由に席が選べるオフィスに、リモートワークのためのボックスが並ぶ最先端の環境を整えた東京・江東区にある営業支援会社。実はここ数年、大きな問題に頭を悩ませていた。

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株式会社セレブリックス事業推進部・高橋佑甫部長:
入社したばかりの社員が、1年以内に退職してしまう出来事がかなり多発していました

2021年度に採用した102名のうち、15人が離職していた。コロナ禍でリモートワークが浸透し、コミュニケーションが不足していると考えた会社は、2022年4月、社員の悩み事をフォローする専門のグループを立ち上げ、社員がいつでも相談できる取り組みを始めた。

入社2年目の木村汐莉(きむら・しおり)さん(23)。自分が成長できているのか、悩んでいるという。相談相手は、今年の新入社員全員と面談しているグループのリーダーだ。

入社2年目・木村汐莉さん:
何か一つを極めたとか、できるようになったという実感があまりないことを、同期と話していて感じた。
エンプロイーサクセスGr.リーダー・伊東さん:
他の同期と比べた時に、圧倒的に成長している、強い部分があって、それは「セレブリックス(会社)」のことを語れるというところが圧倒的に強い。

気軽に相談しやすいように、近くの公園など、外に出て話すこともあるという。木村さんは入社したときからずっとアドバイスをくれる伊東さんを信頼していて、話せないことはないと話す。

入社2年目・木村汐莉さん:
もしこの取り組みがなかったらと考えると、もっと1人で考えてしまったり、仕事に対するモチベーションが下がってしまうことがあると思うので、この取り組みをしてもらうことが、私自身すごく働きやすい環境だなと実感できています。

新卒の離職者は“0人”に

キャリアを重ねている社員からの相談も。実は相談相手を選ぶこともできる。

入社7年目の小菅修斗(こすが・しゅうと)さん(29)が相談したのは、年下の荒井春樹さん(27)。

荒井さんの得意なコーチングを、身をもって体験したいと言う。

入社7年目・小菅修斗さん:
組織に対して捉えていた他責な思考が、自責に切り替わったことによって、割と自分のモヤモヤがクリアになりました。会社に対してポジティブになりました。

エンプロイーサクセスGr.リーダー荒井春樹さん:
相手の主観的な考えを否定しないことと、最後まで話を聞ききることは意識しています。

こうした社員の悩みを徹底的に聞くことに力をいれた結果、2023年の新卒の離職者は、8月末時点で0人に。

コミュニケーションを深めて、従業員が力を発揮できる環境を整えるこの取り組み。社員を大事にしたいという熱意が、それぞれの心強い支えとなっていた。
(「イット!」9月9日放送より)

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