福島県のお土産として人気が高い赤べこ。厄除けの縁起物でもあることから、新型コロナの感染者が増えてからはさらに人気となった。売り上げは好調なのだが、作り手が足らず職人の育成が課題となっている。そんななか、地域を盛り上げようと赤べこ作りに奮闘する一人の女性がいる。

瞬く間に売れる 物産館の人気商品

約5000種類の土産品を販売する福島県観光物産館。中でも不動の人気なのが「赤べこ」 櫻田武館長は「本当にこの2年間、赤べこ不足がすごくて、入ったらすぐ無くなる」と話すほどの売れ行き。

福島県の観光物産館で不動の人気「赤べこ」
福島県の観光物産館で不動の人気「赤べこ」
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柳津町に惹かれ絵付師の道へ

職人不足が課題となるなかで、伝統を引き継ごうと奮闘しているのが、福島県柳津町の地域おこし協力隊の伊藤千晴さん。2022年から赤べこの絵付師として活動している。

2022年から赤べこの絵付師として活動 伊藤千晴さん
2022年から赤べこの絵付師として活動 伊藤千晴さん

群馬県出身の伊藤さんは、2019年に柳津町の風景に惹かれ移住を決めた。「赤べこ伝説」発祥の地と言われる柳津町を盛り上げたいという思いから、職人の道を志し2年半の修行を経て2022年から柳津町での活動が始まった。

深い緑に朱色の橋と赤べこがよく映える
深い緑に朱色の橋と赤べこがよく映える

伝統とオリジナル性

伊藤さんの作る赤べこは、これまでの伝統を尊重しながらも特徴がある。伊藤さんのものは、通常のものと比べお尻に丸みがある。

左が伊藤さんの赤べこ
左が伊藤さんの赤べこ

また「柳津で作っているので背中に“や”の字を崩してデザインして」と話すように「柳津町への思い」も込められている。

背中の模様に柳津町への思いを込めて
背中の模様に柳津町への思いを込めて

心を込めた赤べこ 思い伝わる

柳津町での製作を始めて一年が経つが、伊藤さんの思いは伝わっている。福島県会津若松市の「桐屋紙器工業所」では、伊藤さんの作った赤べこを2023年4月から販売。人気で売り切れになることもあるという。

桐屋紙器工業所(会津若松市)で販売 人気で売り切れることも
桐屋紙器工業所(会津若松市)で販売 人気で売り切れることも

桐屋紙器工業所の諏佐淳一郎さんは「全体的に丸みがあって本当に今までにない可愛らしさ。心を込めてものを作っているというのは感動もしますし、立派としか言いようがない」と話す。

桐屋紙器工業所・諏佐さん「心を込めたものづくりに感動」
桐屋紙器工業所・諏佐さん「心を込めたものづくりに感動」

それを聞いた伊藤さんは「ありがたいですね。色々そういう風に興味を持っていただいて」とうれしそうだ。多くの人の支えがあるからこそ、自分の思いが通じ赤べこが発信出来ていると実感している。

多くの人の支えがあって自分の思いが届けられることに感謝
多くの人の支えがあって自分の思いが届けられることに感謝

次の一歩 工房がまもなく完成

伊藤さんは、2024年春からさらに大きな一歩を踏み出す。JR只見線・会津柳津駅の構内に工房が作られ、赤べこの魅力を発信することに。

JR只見線・会津柳津駅の構内に工房を
JR只見線・会津柳津駅の構内に工房を

「柳津を盛り上げる一つのきっかけになると思いますし、私も赤べこ作り続けられるような場所を与えて頂けたのかなと思うと、今からすごく楽しみです」と伊藤さんは話す。

制作の拠点ができることで さらに魅力を発信
制作の拠点ができることで さらに魅力を発信

赤べこは幸運の牛

柳津町との出会いから志した職人の道。赤べこに対し特別な思いがあるという。「首を縦に振ってくれるじゃないですか。”うん。うん。”っていいえとは言わない。否定してないじゃないですか、それがまた自分を受け入れるきっかけにしてくれるのかなと思うと、全部受け入れてくれる“幸運の牛”だと」と伊藤さんはいう。

「うん。うん」と受け入れてくれる赤べこは伊藤さんにとって幸運の牛
「うん。うん」と受け入れてくれる赤べこは伊藤さんにとって幸運の牛

大きな一歩を踏み出す伊藤さん。これからも多くの人に愛される赤べこを作り続ける。

(福島テレビ)

福島テレビ
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