熊本県八代市の孤立集落を取材

以前厳重な警戒が必要な九州地方。再び雨となった熊本では、これまでに52人の死亡が確認された。7月7日も被災地に降る無情の雨。取材班は、孤立したままとなっている熊本県八代市の集落に向かった。

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道端にはコンクリートミキサー車がほぼ垂直に倒れている。さらに、もともと橋がかかっていた場所は完全に流されていて橋脚のみとなっている。大量の泥が堆積し、自転車が埋まった駅前。泥は駅の構内にも入り込み、椅子の背もたれ部分まで覆い尽くしている。

川の水は見下ろす位置にあるが、一時住宅の1階部分が浸かってしまうほど増水した。住人に話を聞くと…

冨永太蔵さん:
生活用の水がない。電気やライフラインが全部だめ。

濁流が押し寄せてきた時、妻と娘とペットの犬と共に避難し無事だった。現在は2階で暮らしているという。

冨永太蔵さん:
どうやって片付けたらいいのか頭が痛い。果たして、またここに住むべきなのか。

連絡が取れない家族に会いに行く女性を取材した

同じ球磨川流域にある芦北町。トンネルを抜け、この先の孤立集落へと急ぐ女性に出会った。

岡部美佐子さん:
姉のところに行こうと思って。

孤立した集落で温泉旅館を営む、姉夫婦に会いに行くという。

岡部美佐子さん:
向こうの姉と連絡が取れないので、今後どうするのか話をしたい。

集落の状況はどうなっているのか、そして姉夫婦は無事なのか。歩くこと2時間、岡部さんは約120人が暮らすという集落に到着した。

濁流は姉夫婦の温泉旅館にも流れ込み、自慢の岩風呂も泥につかったまま。姉夫婦も逃げるので精いっぱいだったという。

義兄 岩城一巳さん:
もう水道なんか元が壊れているから多分1~2カ月じゃら直らないだろうと言われてて、長い間ですね。

外には流されてきた木などが散乱。道路は寸断され、行き来するには線路を歩く他にない。そのため体調を崩した住民は、ヘリコプターで救助されていた。

姉の明子さんは八代市に戻る決断

復旧まで一体どれだけの時間がかかるのか。出口が見えない不安の中、姉夫婦はある決断を下した。

姉 岩城明子さん:
すいません。私だけ。

義兄 岩城一巳さん:
ゆっくりしてください。

姉の明子さんは、妹が住む八代市に避難することになった。

義兄 岩城一巳さん:
不安で眠れないらしくて、できたら八代市に行かせてやりたいと思っていて、ちょうど妹が来たので。

地元の消防団員でもある夫は集落に残り、地域と旅館の復旧作業に当たることになった。苦難の日々が続く。

(「Live News it!」7月7日放送)