遊園地の楽しみといえば、さまざまなアトラクションはもちろん、スタッフのパフォーマンスも魅力のひとつ。
そこで、想像よりも“ナナメ上”に変化を遂げたものに注目する「ナナメ上調査団」では、今回「遊園地のスタッフ」に注目。
「独特なアナウンスをするスタッフ」「フレンドリーすぎる園長」、「やたら慌ただしいスタッフ」まで、ナナメ上な「遊園地のスタッフ」を取材した。
まずは、みんな一体となってノリノリ!な遊園地のスタッフから。
ノリノリなスタッフ
埼玉・所沢市の西武園ゆうえんちにある「夕日の丘商店街」は、活気みなぎる懐かしい昭和の世界にタイムスリップできる。

スタッフが一体となってお客さんを盛り上げる「ブギウギ祭」が現在開催中で、客も歌ったり踊ったりすることができる。
参加することで楽しめるエンターテインメントだ。
一方、来場者を盛り上げたい一心で、独特すぎるパフォーマンスを行う遊園地もあった。
独特なアナウンスを行うスタッフ
神奈川・相模原市のさがみ湖リゾート プレジャーフォレスト。
相模湖をのぞむ、45万坪もの広大な園内にはさまざまなアトラクションやアスレチック、キャンプ場などがあり、週末には多くの来園者で賑わっている。

そんな、さがみ湖リゾートプレジャーフォレストには、“独特なアナウンスをするスタッフ”がいるという。
そのスタッフは、土倉勝己さん。
大型ティーカップに乗ってくるくる回る人気アトラクション「ティーパーティー」を担当する、勤続12年のベテランだ。

一体、どんなアナウンスをするのか。
実際にアトラクションに乗り込み、待っていると「みなさんこんにちは!『ティーパーティー』へようこそ!まもなくスタートします!」とアナウンスが聞こえる。

だが、なぜか聞こえてきたのは、女性のようなかわいらしい声。
しかし、アナウンスをしているスタッフの姿を確認すると、土倉さんの姿が。

かわいらしい声の主は本当に土倉さんなのか。
本人に確認すると「自分では普通にやっているつもりなんですけど、特にお子さんがビックリされて目を丸くする人が多いです」と話す。
土倉さんの普段の声もちょっと高めだが、これが地声だという。

「テンションが上がるとより高くなりますし、マイクを通すと高くなる感じですね」という土倉さん。
実は「お客さんに笑顔になってもらいたい!」という思いからマイクを持つと、いつも以上にハイトーンになるとのこと。
かわいいアナウンスを聞いて一緒に写真を撮りたいというお客さんもいるという。
そんな土倉さんには、夢があり「声優になりたい。アニメの女の子役やってみたいんですよ!ちっちゃな女の子みたいな」と語り、声優を目指して今でもレッスンを受けているようだ。
思わず楽しくなっちゃう土倉さんのかわいいアナウンス、みなさんもぜひ聞きに行ってみてはいかかでしょうか。
続いては、フレンドリーすぎる園長が登場。
声をかけまくる!フレンドリーな園長
群馬・前橋市にある、前橋市中央児童遊園 るなぱあく。

入園料は何と無料。
さらに、遊具は1回10円から50円と「日本一安い遊園地」とも言われている。
中でも電動木馬は、現在も稼働する日本最古の木馬として、国の登録有形文化財に指定されている。

そんな「るなぱあく」のフレンドリーすぎるスタッフが、園長の原澤宏治さん。

調査員が何に乗るか迷っていると、「大人の方のオススメは『くるくるサーキット』」と声をかけてくれた。
せっかくなので、園長が勧めてくれた「くるくるサーキット」に乗ってみると、カーブを勢いよく、ぐるんと回り、大人でも楽しむことができる。

調査員が乗り終えると、「ちょっとナメテました?」と、原澤園長がとにかくフレンドリーに話しかけてくる。
テレビのロケだからというわけではないようで、日中園内を歩き回って、お客さんに声をかけまくっているというのだ。

原澤園長は「自分はもともと銀行員なので、全ては会話から始まる。相手の考えも会話しなければわからないです」と“話しかける”理由を教えてくれた。
元・銀行員だった原澤さん。
経営コンサルタントとして独立後、当時赤字続きだった「るなぱあく」の園長に就任。
その後、経営改善のためさまざまなアイデアを実行したという。

夜間に開園し、アルコールを提供する大人をターゲットにしたイベントや、子育てに奮闘するママさんたちに「ママ友を作ってもらおう」と、親子で楽しめるイベントなどを開催。
こうした努力が実を結び、今では年間約40万人が来場する人気の遊園地になった。
そんなアイデアマンの原澤園長が一番大切にしていることが、“フレンドリーすぎる接客”だ。

「じかにお客さんの声を聞くというのが一番間近で収集できる情報。『この園どう思う?』という話を聞けるのはここしかないので。お客さんと話をして楽しい答えが返ってきますから、そうすると必然的にお互いに笑顔になります」
続いては、やたら慌ただしいスタッフ。
ダッシュで走るスタッフ
岐阜県にある、今年で50周年の遊園地「養老ランド」。

オープン当初からあるメリーゴーラウンドやチェーンブランコ、向かい合って座り回転する「ロックンロール」など、どこか懐かしい昭和感漂うアトラクションの数々がある。
そんなレトロ感にあふれカラフルな園内が“エモい”と今、若者を中心に話題の遊園地なのだ。
だが、“スタッフが慌ただしい”とは、どういうことなのか。
調査していると、園内を走るスタッフが次々と登場するが、確かに慌ただしそうだ。

彼らの後を追ってみるも、何事もなかったようにスタッフは来園者の対応をしている。
と、思いきや、次の瞬間また走っていく。
その理由を社長の川島雅廣さんは「ローカルな小さな遊園地ですので、なかなか採算というのは厳しいんです。人件費は経費の大きな部分を占めるので、その辺で調整するということになります」と話す。
実は園内の20以上のアトラクションの運営を、6人のスタッフだけでまかなっているという。
「来園者を待たせてはいけない」とアトラクションに人が来ると、全力で駆けつけているのだ。

ちなみに安全のため、スタッフが到着するまで入り口は施錠している。
ただ、これだけ広い園内で、客のいる場所をどうやって把握しているのか。
「養老ランド」主任・加藤龍俊さんは「長年の経験で、この辺にいればだいたい見渡せるな、とか。お客さんの動きがだいたい予想はつくので。大変ではありますけど、やりがいはあります!」を笑顔を見せた。

観覧車などがあるエリアに2人、橋を渡った中央のエリアに2人、そして動物エリアに2人というスタッフ配置で常に客の動向を見守っているという。
スタッフの目が届きづらい4つのアトラクションには「呼び出しブザー」があり、押すと中央広場のランプが点灯する。
それを確認したスタッフが、ダッシュで駆けつけるというシステムになっているようだ。

では、ブザーを鳴らしたら実際にどのくらいで駆けつけてくれるのか。
園のやや端っこにある「釣り堀」でブザーを押すと、スタッフがダッシュで到着。
その時間16秒と、広い園内を6人でまかなっている割には早い。

加藤さんは「乗り物に乗っている時のお客さんの笑顔や、帰って行かれる時のお客さんの笑顔を見ると大変なことも忘れるくらいうれしいです」と語った。
だが、週末には家族連れなど1日約500人が来園するため、さすがに6人で全てを網羅することは難しいようで、アルバイトを入れて対応しているという。
これから気持ちの良い季節、ナナメ上なスタッフがいる遊園地で楽しんでみるのもいいかもしれない。
(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年9月5日放送)