2023年8月24日に始まった、東京電力福島第一原発の処理水放出。日本には中国からの嫌がらせ電話が相次ぎ、その被害は各地で確認されている。
中国人は処理水についてどのように感じているのか。福岡空港を訪れた人々に話を聞いた。
中国からの嫌がらせ電話…なぜ福岡に？
8月24日、ついに始まった福島第一原発の処理水の海洋放出。その後、全国各地で相次いだのが…。
中国人：
日本はどうして核排水を排出しますか
中国の国番号「86」で始まる番号からかかってくる嫌がらせ電話だ。被害は福岡でも確認されている。
「86」番号から電話を受けた福岡の男性：
「もしもし」って言ったら「なんちゃらかんちゃら」って。「もしもし」ってもう1回聞き返したら、変な中国語を話していて
この男性が働く福岡市内のライブハウスに、中国からかけたと思われる着信が複数回あったという。
また、県内の個人宅にも…。
「86」番号から電話を受けた福岡の女性：
何か言っているけど、日本語じゃなくて訳の分からない言葉だったので…。全然（電話番号を）公開している訳ではないので、どうしてうちだったか、全く分からないです
一体、誰が、なぜ…。着信があった番号に取材班がかけ直してみた。
通訳：
こんにちは
中国人：
何だ？
通訳：
あなたから電話をもらったけど、何か用ですか？
中国人：
何の用もないです
さらに別の番号では…。
通訳：
電話をかけてきた目的は？
中国人：
なぜ「汚染水」を海に放出したんですか？
通訳：
原発の処理水のこと？
中国人：
当たり前でしょう
通訳：
なんで福岡にかけてきたんですか？
中国人：
もういい（電話切る）
通訳によると、中国人が「福島」と「福岡」を間違えた可能性もあるという。
処理水放出後、直ちに日本の水産物の全面禁輸に踏み切った中国。嫌がらせ電話については「状況を把握していない」としている。
「中国人は全員処理水を気にしている」
急速に日中関係が悪化する中、福岡空港に次々と降り立つ中国機。果たして中国人旅行客の心中は？
本山順子ディレクター：
福岡空港国際線の到着ロビーです。中国からの便が続々と入って来て、多くの乗客が降りて来ています
「日本の水産物の全面禁輸」措置後も、変わらず福岡空港に次々と降り立つ中国機。到着した中国人旅行客に話を聞こうとインタビューを試みるが…。
通訳：
インタビューは駄目だって。会社のグループ旅行で来て、福岡県内に6日間。旅行会社から「しゃべるな」と言われているので「（インタビューは）ごめんなさい」と
ツアー会社などから禁じられているという理由などで、インタビューに応じてもらえない。
ようやく1人の女性が、顔を隠すのを条件に話してくれた。
女性の中国人旅行客：
中国の深センから来ました。処理水についてはもちろん心配です。特に海の食べ物は怖いし、周りの人からも「今、日本に行くの？」と言われた。（福岡で）海鮮は食べない。中国では日本の海鮮を食べることを止められています
中国人で、現在住んでいる福岡に戻ってきたという男性も、処理水への不安を口にした。
福岡に戻ってきた中国人男性：
（処理水のことは）気にしています。海鮮はちょっと遠慮している。食べるのをちょっと減らすと思う。中国人は全員（処理水を）気にしている
姉家族が遊びに来て県内を案内したと話す福岡在住の中国人女性は…。
ーー何を食べた？
姉家族を見送りに来ていた福岡在住中国人：
姉さんと子どもがラーメンとおすし。（処理水は）気になりますね。今はまだ（福岡は）大丈夫。今度（姉家族が）日本に来る予定はない。ちょっと影響は大きい、中国人にとって
悪化へ突き進む日中関係
一方、中国でも波紋が広がっている。8月から北京に駐在している西日本新聞の伊藤完司中国総局長が現地の様子を語った。
西日本新聞・伊藤完司中国総局長：
日本人学校に石や卵が投げ入れられたとか、そういう情報もあって、日本大使館が注意するよう呼びかけている。外で大声で日本語を話さないとか、ある日系企業はスーツで出社しないように呼びかけている。スーツを着ていると日本人じゃないかと思わせるので、ラフな格好で出社した方がいいと
外出の際は日本人と分からないように気をつけていると話す。
西日本新聞・伊藤完司中国総局長：
今はスーパーに行っても当然、日本の海産物は置いていませんし、日本料理屋に行っても全て中国産か日本以外の外国産に置き換わっている。日本人がよく集まる日本大使館近くの飲食店に行ったが、人は少なかった。店長に聞いたら、処理水の問題がニュースでよく伝えられるようになって、日本人も中国人も急に来なくなったと。経営が大変だと嘆いていた
処理水放出をめぐって強まる中国の反発。今後、日中関係はどうなるのか。
（テレビ西日本）
