日本生命は、個人型確定拠出年金iDeCoの口座管理手数料を2023年10月から無料にすると発表した。

この記事の画像(11枚)

iDeCoは老後に備え、自分でお金をかけて運用して給付を受けることができる私的な年金制度の一つだ。

日本生命は、加入者が毎月319円支払っているiDeCoの口座管理手数料を、条件を付けずに無料にすることを明らかにした。

資産形成へのニーズが高まっていることから、SBI証券や、りそな銀行ではすでにiDeCoの口座管理手数料が無料となっていて、生命保険会社としては初めて日本生命が10月から無料にする。

毎月5万人ペースで加入者数増

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
そもそも、このiDeCoとは、どういうものなんでしょうか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
先程もありましたが、iDeCoは国民年金や厚生年金などの公的な年金とは別に、給付を受けられる私的な年金制度の一つです。

加入の申込、掛金の拠出、さらには運用などを自分で行う必要があり、掛金と運用益によって、受け取れる給付金が決まります。

これには、所得税や住民税が軽減されたり、運用で出た利益の非課税など、お得なメリットがあります。

ただし、原則60歳まで引出すことができないデメリットがある点にも、注意する必要があります。

堤 礼実 キャスター:
今回のiDeCoもそうですが、いま投資に関する手数料の無料化などが進んでいますよね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
最近、節税のメリットが大きいiDeCoに若い層の加入率も増えています。毎月5万人のペースで加入者数が増えていて、この5~6年で規模は10倍に拡大しています。

多くの方が資産形成を考えるようになり、今回のような「手数料の無料化」は、所得が低い層や若い層にもありがたい取り組みです。

先週、一部の証券会社が日本株の手数料を無料にする動きがありました。

このように、銀行、証券、保険などが、手数料の無料化によって顧客の獲得に力を入れている流れをみると、誰もが携帯を持つように、“資産形成も当たり前”、そんな時代になりつつあるのを感じますね。

運用リターンは長期か短期で差が出る

堤 礼実 キャスター:
いま、貯蓄から投資への流れがありますが、私たちがおさえておくべきポイントは?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
投資信託協会の調査によると、運用によるリターンは「長期」か「短期」かで、差が出ています。

実は、利益が出ている投資家の58%は、長期的な投資を重視しているんです。

一方で、運用がうまくいっていない投資家は、「短期的な投資で得られる大きな利益」を狙って損失を出してしまう傾向があります。

資産形成の合言葉に「長期・分散・積立」という言葉があります。まさに、iDeCoやNISAは、長期の視点で、分散を図り、積立しながら資産形成をできる仕組みです。

投資の拡大を図るには、手数料の無料化に加えて、お得な制度への理解を深めて、誰もが使いやすく、分かりやすいものにしていく必要があります。

堤 礼実 キャスター:
資産形成への注目が高まる中、上手にお金を運用していくためにも、今回の制度などを上手く活用できればと思いますし、貯蓄から投資への流れを確かなものにするためにも、金融教育なども充実させていく必要があるように思います。
(「Live News α」9月4日放送分より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(11枚)