上皇ご夫妻は8月22日、静養のため長野県の軽井沢を訪問されました。
軽井沢でのご静養は4年ぶり。
軽井沢駅前には多くの人が集まり、ご夫妻は手を繋ぎながら笑顔で応えられました。

軽井沢駅前で出迎えた人たちからは、「お元気そうだったので、安心しました。ゆっくり、こちらの地でご静養していただければと思っております」「ぜひテニスコートをご覧になって、若き日のことを思い出していただいて、健やかにお過ごしになられればよろしいかと存じます」との声が上がりました。
上皇ご夫妻 軽井沢の思い出
ご夫妻の思い出の地・軽井沢。昭和32(1957)年、当時「テニスコートのロマンス」と呼ばれた出会いで、お二人は結ばれました。

結婚し、お子さま方が生まれてからも、ご夫妻は夏のご静養を軽井沢で過ごしてこられました。

昭和40(1965)年、上皇さまは5歳の天皇陛下とサイクリングを楽しまれました。
翌年には、ホテルの庭で元気に木登りもされた陛下。活発な姿をご夫妻は、穏やかな笑顔で見守られていました。

この年には、生後8カ月の秋篠宮さまも一緒に軽井沢へ。上皇后さまに抱かれ、陛下と一緒にブランコで遊んでいらっしゃいました。

昭和44(1969)年4月には3人目のお子さまである清子さんが誕生しました。
軽井沢で生後4カ月の清子さんを囲み談笑されるご一家。
陛下は、愛おしそうに妹の頭をなでられていました。

上皇ご夫妻は、軽井沢でお子さま方と過ごす時間を大切にして来られました。
ご一家で軽井沢の山々を登山
昭和40(1970)年、上皇さまは5歳の陛下を連れ、軽井沢の近くの小浅間山に登られました。のちに陛下は、この頃の山登りがきっかけで登山に夢中になったと述べられています。

昭和54(1979)年、ご一家は標高1667メートルの石尊山へ。このとき、陛下は学習院大学の2年生、秋篠宮さまは中等科2年生、清子さんは初等科4年生。登山の案内役は、山登りが趣味の陛下が務められました。

軽井沢はご夫妻にとって、公務から離れ自然の中でリラックスされる場所です。
ご一家で愛犬を連れ散策などを楽しまれました。

また、お子さま方は、普段、東京ではなかなか出来ないことを軽井沢で体験されました。

昭和61(1986)年には、秋篠宮さまが陛下を助手席に乗せ、愛車でドライブを楽しまれています。
上皇ご夫妻とテニス
軽井沢での楽しみと言えばテニス。お子さま方が成長するにつれ、ご一家で楽しまれるようになりました。中等科2年生の陛下は、上皇さまとダブルスを組んでプレーされました。

このときテニスを習い始めたばかりの7歳の秋篠宮さま。美智子さまの前で素振りを披露されています。

その後、秋篠宮さまはめきめきと上達し、軽井沢の大会で3度優勝を飾られました。
昭和59(1984)年、ご夫妻が出会った思い出のテニスコートには、多くの人が集まりました。上皇さまと陛下、そして上皇后さまと秋篠宮さまがペアを組み、ご一家がダブルスで対戦。熱戦が繰り広げられました。

試合後、地元の人たちと気さくに交流されたご一家。テニスコートの周りは大変な賑わいとなりました。
平成25(2013)年にも、友人とテニスを楽しまれたご夫妻。このとき、上皇さまは79歳、上皇后さまは78歳。昔のように息の合ったプレーを見せられました。

この年以降も、プレーこそされませんが、思い出のコートには度々立ち寄られています。
今回の滞在中も足を運び、試合を観戦したり、古くからの友人たちと交流するなど、和やかなひとときを過ごされました。
大日向開拓地ご訪問 ご夫妻が開拓者に寄せる思い
上皇ご夫妻は8月23日、戦後、旧満州から引き揚げてきた人たちが切り開いた「大日向開拓地」のキャベツ畑で散策を楽しまれました。
ご夫妻は、キャベツの育ち具合を確認しながらゆっくりと畑を見て回られました。
上皇さまが「キャベツ畑、なかなか大きいね」と述べられると、上皇后さまは「いつものキャベツ」と応じられました。
農作業中にご夫妻を見かけたという女性は、「こっちを見て手を振っていただきました、すごくうれしかったです」と話し、また、両親が開拓者という女性は「(両親は)満州から引き揚げてきて、大変な思いをしたと思うんですけど、(上皇ご夫妻に)心を寄せていただいて本当にありがたいと思います」と感謝の言葉を述べていました。

上皇ご夫妻は、皇太子時代から開拓者との交流を続けてこられました。
昭和59(1984)年に訪問した際は、畑で収穫したばかりのレタスのプレゼントを受け、笑顔を見せられました。

平成20(2008)年には、開拓の歴史を伝える記念館を訪問されたご夫妻。開拓者が使った農機具などをご覧になりました。また、厳しい自然の中で土地を開墾してきた人々と懇談し、「ご苦労も多かったでしょう」と労われていました。

今回、ご夫妻は、昭和天皇が詠んだ和歌が刻まれた記念碑をご覧になり、歌を詠みあげながら、開拓者の長年の苦労に思いを馳せていらっしゃいました。

記念碑の近くで散策されたお二人。上皇后さまが「あちらにアサマフウロがございます」と奥の方を指し示されると、お二人は手を繋いだまま、ゆっくりと花に近づかれ・・・。
上皇さまも「あれはツユクサだね」「これはキクの類だね」などと、上皇后さまと草花を一つ一つ確かめながら見て回られました。

8日間にわたり、思い出の地・軽井沢でゆっくりと過ごされたご夫妻。
上皇さまは「よい滞在ができました」と笑顔で話されていました。

(「皇室ご一家」9月3日放送)