コロナ禍ではオンライン授業やテレワークに移行など、いろいろと変化があった。では「平日の朝食に食べるもの」はどうだっただろうか?

朝日大学マーケティング研究所が関東在住の18歳~59歳の男女408人を対象に行った調査(5月30日~6月1日)で、約2割(17.2%)に「最近5年間で平日の朝食内容に変化があった」ことがわかった。

最近5年間で平日の朝食として飲食回数が「多くなった・飲食するようになった」の割合が最も高いのは 「米」(35.4%)。そして「シリアル」(29.2%)、「ヨーグルト」(27.7%)、「パン」(26.2%)が続いた。一方、男女とも「少なくなった・飲食しなくなった」のトップは「パン」だった。

平日の朝食の飲食物が変化した理由としては「健康のため」(40.0%)が最も高く、「簡単に食べられる、食べやすいから」(21.5%)、「減量、増量のため」(18.5%)が続いた。

50代女性の3割「朝食に変化」

また最近5年間で平日の朝食内容に「変化があった」と回答した人を性年代別でみると、最も高いのは50~59歳・女性(28.6%)で、最も低いのは 40~49歳・男性(10.4%)。

50~59歳・男性(13.0%)も2番目に低く、「高年代の男性には平日の朝食について保守的な傾向がみられる」と分析している。

この調査で特に興味深いのは、食べる回数が“増えた飲食物”と“減った飲食物”だ。男女とも「少なくなった・飲食しなくなった」のトップは「パン」だったのだが、この理由は何なのか?一方で、「米」「シリアル」「ヨーグルト」の飲食回数が増加した理由としては、どのようなことが考えられるのか?

朝日大学マーケティング研究所の担当者に聞いた。

男女ともに健康に気をつかう人が増えた

――「直近5年間の朝食の変化」に関する調査を行った理由は?

朝日大学マーケティング研究所では、話題のサービス、消費トレンド、世の中の新しい動きを先取りした事象について、自主的に「トピックス・リサーチ」を実施し、調査データ集積のポータルサイトとして広くデータを公表しています。

その中で特に注目したのが、新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行して、日常生活にも様々な変化が出始めていることです。

コロナ禍の数年間で変わった生活スタイルが、移行後の現在の生活にどのような影響を与えているのかを把握するために、まずは生活の起点となっている平日の朝食に焦点をあてて、調査を行いました。


――平日の朝食として「米」「シリアル」「ヨーグルト」の飲食回数が増加。この理由は?

コロナ禍を経験して、男女とも、自分自身の健康にも気をつかう人が増えたことが一番の理由と考えられます。特に女性では、ヘルシー志向の高まりから、「シリアル」「ヨーグルト」を選択する人が増えています。

また、5年間で平日の朝食を習慣化した人も増え、朝食を続けて摂るために準備に手間が掛からない食材を選んだ人も多かったと考えられます。

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――男女とも「少なくなった・飲食しなくなった」のトップは「パン」。これはなぜ?

「パン」は朝食で、一番、食べられています。その一部が「パン」から「シリアル」「ヨーグルト」などにシフトしたと考えられます。

理由としては、「シリアル」のほうが栄養のバランスがとれ、他の食材を準備する手間が省けるなどの手軽さがあります。「ヨーグルト」は免疫力を高めるための腸活ブームなども影響したと思われます。

女性では「菓子」「餅」などが減っているのも、同様の理由と考えられます。

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――高年代の男性には平日の朝食について保守的な傾向がみられる。この理由は?

これまでの生活スタイルがしみついていて、変える意識が薄い層です。

朝食を自身で作らず、出されたものを食べている割合が高いと考えられ、時間や手間の両面で手軽さなどに敏感ではないと考えられます。新しいスタイルに変更することにリスクを感じています。

朝食にかける時間は非常に短くなっている

――この調査結果を、どのように受け止めている?

平日の朝食は健康生活のために大切だと感じている人は多いですが、朝食にかける時間は非常に短くなっています。素早く準備して、素早く済ませる人が大半を占めており、時間の面でも、手間の面でも、手軽さが重視されます。

朝食においても、「時短」「ヘルスケア」「経済性」などの時代を反映したキーワードがクローズアップされた結果と理解しています。


――栄養面で考えると、朝食に何を食べるのがおすすめ?

朝食で何を重視するかは十人十色で、多様な朝食スタイルがあってよいと考えます。短時間でバランスよい朝食を考えるのであれば、調理時間が少なくて済む「シリアル」「ヨーグルト」「牛乳」などがおすすめです。

一方、準備時間、食事時間が相対的に長く、朝食をゆったりと過ごしたい人も少なくないです。こうした人には「ご飯」「野菜」「肉」「魚」など、これまでの和朝食がおすすめとなります。栄養バランスのとれた食事という点では共通しています。

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かける時間が非常に短くなっていて、時間の面でも手間の面でも、手軽さが重視される傾向があるという「平日の朝食」。“タイパ”を重視する人には、短時間でバランスよい朝食を調理時間が少なくて済む「シリアル」「ヨーグルト」「牛乳」が良さそうだ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。