2023年の記録的な暑さは、野菜の生育や価格にも大きな影響を与えている。今が旬のミニトマト、気温が下がらなければ9月の収穫量が9割落ち込む見通しだという。青果店からは店頭から野菜が消えてしまうのではという不安の声も聞かれた。
35℃超で生育に影響
赤く色づいたミニトマト。しかし枝の上の方に目をやると、これから赤くなるはずの実がついていない。

福島県須賀川市でミニトマトを栽培している農家の桑原翔太朗さんは「35℃を超えてくると、トマト自体が花や実をつけずに落としちゃう。ここまで露骨に花ごと落ちるのは、けっこう珍しい」と話す。

実ったものも…ドライトマト状態
本来は真っ赤に色づいているはずのミニトマトは、高温により焼けていまいオレンジ色に変色。なかにはドライトマト状態のものも。

ハウス内に遮光ネットを張り対策をしているが、気温が35℃以上の日が続き、ハウス内の温度は下がっても32℃ほどと栽培の適温より高く、効果は薄いという。

9月は収穫量9割減のおそれ
ミニトマトの味に問題はなく、桑原さんは知り合いに配るなどして廃棄を少なくしようと工夫しているが、暑さが続けば9月の収穫量はより厳しくなると感じている。

「9月に関してはほとんど採れないような。例年からすると1割くらい採れれば…そこまで落ち込むんじゃないかなと思います。今すぐ涼しくなってほしい」と話した。

青果店もがっかりの質と価格
福島県福島市の清水屋青果店の井原寛さんは「去年より3~4割高い。品物が良くなくて高いということで、本当にがっかりしている」と頭を抱えていた。

店頭に並ぶ数が例年の半分程度のトマトは、2022年は一個80円ほどで販売していたが、2023年は約100円から120円。

特に大きな影響を受けているのが葉物野菜で、清水屋青果店の井原さんは「レタスは、去年は倍くらい大きかった。それだけ量が少ない。今年は葉の数が少なく、幅が狭い」と話す。

今後、野菜は入荷するのか
ここ数年で最も状態が悪く、中には暑さに耐えられず芯が腐ってしまったものあり、廃棄せざるを得ない野菜が増えているそう。井原さんは「厳しいですよ、暑さは。今後、野菜が入ってくるのか不安。無くなるんじゃないかと思って心配」と語る。

安定した販売量が維持できるのか、見通しの立たない苦しい現状が続いている。
(福島テレビ)