進化する路面電車。栃木・宇都宮市では25日に新たな路面電車LRTが開通したが、広島では建設中の駅ビル2階に路面電車が乗り入れるための工事が2025年に向けて進行中だ。一晩のうちに線路を移設する工事に密着した。

レールをずらして新しい線路につなげる

広島駅近くの稲荷町交差点。路面電車の線路をみると、レールが2組敷かれている。

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その理由は…。

広島電鉄 駅前プロジェクト推進部・八木秀彰課長:
今使っている既存のレールと新しいレールの間が約28cmある。これをいまから全員でギュッと寄せて新レールにつなぐ

火花を散らし、線路を切断…。

この工事は、2025年に完成する広島駅ビルの2階に、路面電車を乗り入れるため、その分岐点となる稲荷町交差点の今の線路の形状を変える重要な「軌道移設工事」。

八木課長:
広島駅方面に曲がるためには、現状の線形だとカーブが急になるので、広島駅に入れるカーブを作っていく作業です

作業員:
もうちょい!もう1回!まだまだ!

加藤雅也アナウンサー:
いま熱でレールを切断をしながら移設作業が進んでいます。ちょうど残りレール1本分くらいの間隔でしょうか

そしてついに、レールが移設先につながった。

軌道ブロックに入れ替え後に新しい線路が完成

しかし、このレールは仮設で今後順次、新しい軌道ブロックに入れ替えるという。

すでにレールと枕木が組まれた軌道ブロックは、それぞれの場所のサイズに合わせて、ほかの場所でつくられたもの。

稲荷町交差点では、線路が交差する「十字クロッシング」など、これから順次、新しい軌道ブロックが古い線路にかわって埋め込まれる。

「十字クロッシング」の軌道ブロック
「十字クロッシング」の軌道ブロック

近くの稲荷町電停の前では、これまで使っていたレールを外し大きな穴を掘っていた。

そこに到着したのは、長さ12メートル、重さ約5トンのレールとコンクリート製の枕木がはしご状に組まれた「軌きょう」と呼ばれる線路。

これを古いレールを外した穴に埋め込む。

作業員:
じゃあ行くよ!せーの!せーの

始発電車の前に試運転で安全点検

作業員:
OK。OK!だいたい計画高!

ズレることがないよう座標をチェックしながら、まさに”ミリ単位”の精密さが求められる作業だ。

そして、午前5時。

加藤アナウンサー:
試運転の電車に乗せていただきました。時速25kmでいま走行をしています

加藤雅也アナウンサー
加藤雅也アナウンサー

係員:
問題なし

新しい線路を試運転
新しい線路を試運転

八木課長:
長い間、計画を温めていたものが今回実現していくので、私もワクワクしながら工事をしている。しっかりと良い空間に仕上げていきたいと思っている

CO2を出さない移動手段としても注目度が上がっている路面電車は、街づくりと一体化し、街の景観に溶け込むことで新たな価値を生み出しているようだ。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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