原発の処理水放出に反発する中国が、日本の飲食店などに迷惑電話をかけてきていて問題となっている。今、中国で何が起きているのだろうか。現地で実態を取材した。
上海の日本人学校前はものものしい雰囲気…
福島第一原子力発電所に保管されている放射性物質を含む処理水について、基準を下回る濃度に薄めたうえで、東京電力は8月24日に海への放出を始めた。 以降、中国国内では反発が強まり、中国に住む日本人も影響を受けている。
上海支局 粟村文彦カメラマン:
8月27日夜、領事館から注意喚起のメールが届きました。原発処理水放出後、早くも2回目です

上海支局で勤務するカメラマンのもとに届いたメールでは、外出する際、不必要に日本語を大きな声で話さないなど、安全に注意するよう呼び掛けられていた。ここまで慎重を期すのは、実際に被害が出始めているからだ。
8月28日、上海の日本人学校を訪れてみると、正門前には警察や警備員が多数警戒にあたっていた。

辺りはものものしい雰囲気だ。というのも、北京の日本大使館によると、処理水放出が始まって以降、山東省青島市の日本人学校では石が投げ込まれ、江蘇省蘇州市の学校でも卵が投げつけられた跡が見つかったのだ。こういった抗議活動を警戒して、上海の学校では厳戒態勢が敷かれていた。
市内のすしなどを扱うレストランでは…

上海支局 粟村文彦カメラマン:
飲食店の看板には、「日本の水産品は使用していません」と書かれています
嫌がらせについて中国政府はどんな措置?
中国国内では禁止されている日本産水産物などを使っていないか抜き打ち検査が強化されていて、違反すると最高で日本円にして2,000万円の罰金が課せられる恐れがあるという。

中国外務省の28日の定例会見では、日本人学校に石が投げられたり、料理店にいたずら電話がかかってきたりすることについて、中国政府はどんな措置を取っているかという質問が出たが…
中国外務省報道官:
まず、中国は一貫して中国在住の外国人の安全と権利を守っているが、日本政府は国際社会の強い反対を無視して、一方的に福島の“汚染水”を海に流した
こう答えて、逆に日本政府を批判した。 処理水放出をめぐって過激化する中国の反発。今後、日中関係にどのような影響を及ぼすのだろうか。
(関西テレビ「newsランナー」2023年8月28日放送より)