日本のメーカーが開発したスキンケア化粧品が、国際宇宙ステーションに搭載される。水を使わないので、災害時や入院時での活用も期待される。

ポーラとANAホールディングスが共同で開発した「COSMOLOGY(コスモロジー)」は、スキンケア化粧品として日本で初めてJAXAに採用された。

10月に発売されるクレンジングとクリームのセット「コスモロジー スペースクルーキット」は、2024年、国際宇宙ステーションでの長期滞在に搭載される予定だ。

宇宙では肌が乾燥するため、環境が似ている航空機の客室乗務員の知見を生かして、テストが行われた。

新開発された成分は乾燥を防ぐことができ、特にクレンジングは、宇宙を想定した水を使わない拭き取りタイプになっている。

ポーラ・及川美紀社長:
思うように水が使えない場所でも、こういうものを使うことで肌を健やかに清潔に保つこともできる。

水を使わないことから、宇宙だけでなく災害時や入院時などでの活用も期待される。
「水不要」入院中や災害時などに有効
「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。
堤 礼実 キャスター:
化粧品の商品開発にも携わっている渡辺さんは、水なしでも使えるスキンケア商品、どうご覧になりますか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
今回の商品は、水を使わないでクレンジングや洗顔、保湿ができて、水が貴重な宇宙空間でも快適に使えるのが素晴らしい。
従来のスキンケアと違うステップで、「新しい着眼点の興味深い商品が開発されたな」と思いました。
さっそく、今回の「コスモロジー」を試させてもらったが、プルンとしたジェルからみずみずしいローションに変わるため、お肌への摩擦を感じさせない使用感は見事。
この「水を使用しない」という特徴は、入院中の方や、キャンプなどのアウトドア、さらには災害時などでの使用も想定される。
堤 礼実 キャスター:
今回の商品は、「宇宙品質」というのがポイントのようですね。
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
例えば、国際宇宙ステーションの中は砂漠とほぼ同じという、極めて湿度が低い状態にある一方、お肌に潤いを与える水が、存分に使えるわけではない。
宇宙飛行士の方の「肌の乾燥を感じる」という声を受けて研究を開始している。
そして、全日空との共同プロジェクトの体制をとり、国際宇宙ステーションと航空機の機内環境との類似性に着目して、客室乗務員の方に使用協力を求めるなどをして、今回の「宇宙品質」が実現した。
これは自社での開発と生産にこだわる、ポーラらしさがよく表れている。
自社開発・生産で”ポーラらしさ”
堤 礼実 キャスター:
そのポーラらしさとは、具体的にはどういったものでしょうか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
化粧品は、協力工場に生産を委託するケースが多く、自社で研究所を抱えて、自社工場で生産しているところは少ない。
一方、今回の商品は、特許取得も多い自社のポーラ化成研究所が中心となって開発され、自社工場で生産している。
お肌のみずみずしい潤いをサーポートする、ポーラオリジナルの複合保湿成分がベースになるなど、まさに”ポーラらしさ”が、よく表れた商品になっている。
宇宙発想の保湿サイエンスというイノベーションは、今後の新製品開発にも大いに役立つのではないかと思う。
堤 礼実 キャスター:
肌の健康を保つためにもスキンケアは欠かせないものです。
宇宙を想定した製品でありつつ、災害時や体調が優れない時など、日常生活でも頼りになる場面は多そうだと感じました。
こういった宇宙発想に、地球での生活をより豊かにするヒントが隠されているのかもしれませんね。
(「Live News α」8月28日放送分より)