徳川家康公を神様として祭る神社に“偽僧侶”が現れた。外国人観光客をターゲットに“お札”と“数珠”を売りつけ、現金をだまし取ったという。

“偽僧侶”が現れた上野東照宮(東京・台東区)
“偽僧侶”が現れた上野東照宮(東京・台東区)
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オレンジ色の法衣姿のアジア系男

23日、取材班は東京・台東区にある上野東照宮へ向かった。

上野東照宮は徳川家康公を神様として祭る神社。外国人観光客でにぎわう人気スポットに現れたのは、謎の“偽僧侶”だった。

“偽僧侶”が見つかったのは、7月24日。一体、どのような様子だったのか、神社の関係者に絵を描いてもらった。

上野東照宮 禰宜(ねぎ)・嵯峨まきさんは、「帽子が白でオレンジ色のけさを着ていまして、白いスニーカーで大きめのカバンを斜めに提げていました。日本人からするとちょっと変だなと思う」と説明する。

“偽僧侶”は、オレンジ色の法衣(ほうい)姿で白い帽子をかぶったアジア系の男だったという。その“偽僧侶”は、外国人観光客に声をかけては怪しげなお札と数珠を売りつけ、現金をだまし取ろうとしていた。

偽僧侶が売っていたプラスチック製のお札のようなものと数珠
偽僧侶が売っていたプラスチック製のお札のようなものと数珠

“偽僧侶”が売っていたのは、金色に輝くプラスチック製のお札のようなものと数珠。

“偽僧侶”は、「これを買えば上野東照宮で特別なご祈祷(きとう)をしてもらえる」と説明し、外国人観光客から1万円をだまし取ったという。お札も数珠も上野東照宮とは全く関係のないもので、説明はとんだ作り話だった。

売られていた数珠は軽く、上野東照宮 禰宜・嵯峨まきさんも「本物の数珠ではあり得ない軽さ。粗悪品ですよね」と指摘する。

そもそも僧侶がいるのはお寺であって、神社にはいるはずがない。上野東照宮 禰宜・嵯峨まきさんは、「全く知識もなく、信仰への理解もなく、そのようなことをしているのが大変悔しい」と話す。

「日本の文化に冒瀆(ぼうとく)する行為だ」(ベルギーからの観光客)、「偽物を販売する行為は悪事だと思う」(スイスからの観光客)と、外国人観光客も不満顔だ。

“偽僧侶”は過去にも…

“偽僧侶”が現れたのは、実は今回が初めてではない。7年前にもフジテレビのカメラが“偽僧侶”の姿をとらえていた。

2016年に原宿で確認された“偽僧侶”
2016年に原宿で確認された“偽僧侶”

当時の映像では、東京の秋葉原や原宿などの人気スポットで、外国人にお札のようなものを渡し、寄付を要求。外国人観光客が嫌がっても、お構いなしの強引さだった。

さらに2017年には、“偽僧侶”として外国人観光客に数珠やお札のようなものを売りつけた中国人の男が逮捕されている。

当時の押収品と比較。上野東照宮で使われたものによく似ているのがわかる。
当時の押収品と比較。上野東照宮で使われたものによく似ているのがわかる。

この時の押収品を見ると、今回、上野東照宮で使われたものによく似ているのがわかる。

この問題にくわしい中国人ジャーナリストによると、中国東部の浙江省には、外国に出向いては金をだまし取る“偽僧侶”の村があるという。

中国人ジャーナリストの周来友氏は「(偽僧侶は)元々は農民です。畑仕事がないときに観光ビザで外国に行って、出稼ぎみたいな感じで軽い気持ちで行く。1週間で60万稼いだ。相当荒稼ぎしている」と話している。

(「イット!」8月23日放送より)

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