兼重宏行前社長らが行ったビッグモーターの謝罪会見からまもなく1カ月。その後も、枯れた街路樹、パワハラと問題は次々と噴出している。

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その多くで“キーマン”と指摘されている兼重前社長の長男・宏一前副社長は、いまだ公の場に姿を見せることはない。

FNNは、宏一氏が主導した環境整備点検について新たな証言を得た。さらには愛媛県の店舗にある巨大な立体駐車場が「看板では?」と物議を醸している。

宏一氏ら幹部が「住宅に向かって用を足した」

「もう“鬼が来た”みたいな感じ」
「とにかく店舗にはいない方がいいので『やばいんで逃げろ』って感じ」

宏一前副社長(画面中央)
宏一前副社長(画面中央)

こう話すのは営業担当の社員だったAさん。月1回の頻度で店舗を訪れる宏一氏を鬼に例えるほど恐れていた。

Aさんはある日、環境整備のために訪れた宏一氏ら執行部の仰天行動を目の当たりにした。店の前で“用を足していた”のだという。

Aさんは、「(環境整備で)店長がすぐ挨拶しに行ったんですね。お疲れ様ですってめっちゃ大きい声で言ったんですよ。そしたら『何してるか分かってるんか!』ってぶち切れられてました」と話した。

この日、近隣の店舗を複数回った後にAさんの店にやってきたという宏一氏ら執行部だが、トイレに行く暇もなかったのだろうか。

店の美化を指導する立場の人間の信じられない行動に衝撃を受けたAさんは、さらに驚くべきは「店舗の真横に隣接している住宅に向かってしてる(“用を足している”)んですよ」と明かした。

愛媛・松山で新たな“景観問題”も

さらにビッグモーターの店舗を巡り、景観問題が持ち上がっていることが新たにわかった。

愛媛・松山市にある「ビッグモーター衣山店」。一見普通の店舗に見えるが、注目すべきは道路にせり出すように立っている“巨大な青い塔”だ。

この“青い巨塔”が一体何なのか、物議を醸している。

周辺には自動車のディーラーや商業施設などがあるが、それらの建物と見比べても、かなり大きいことがわかる。高さは約45m。

周囲のマンションなどと比べても群を抜いて高く、ひときわ目立つこの塔。壁面にはビッグモーターの社名に加え、「買取」「車検」などの文字が並んでいる。近くを通った人に“青い巨塔”について聞いたが、一人は「看板でしょ」と、もう一人も「看板じゃなくてですか?」と答えた。

松山市の基準では、看板の高さとして認められる上限は15m。この青い塔は基準の高さを30mもオーバーしていることになるが、ビッグモーター側はこれを看板ではなく、立体駐車場として市に届け出ているという。

松山市によると、看板ではなく建物であれば高さの上限は51mとなり、基準はクリアしていることになる。よく見ると、確かに車の入り口らしきものは確認できる。

しかし、この高い塔が駐車場として利用されているのだろうか。
付近の住民に車の出入りを見たことがあるかどうか尋ねたが、「全然見たことない」「見たことがないですね。1回も。(景観的に)邪魔ですね。なんか見苦しいというか」といった答えが返ってきた。

市にも「基準違反ではないか」などの問い合わせが複数寄せられているという。さらに、市の担当者は、「建物としての意味をなしていないのであれば、許可取り消しもあるかもしれない」と話す。

この問題についてビッグモーター側は、FNNの取材に「当該立体駐車場は、お客様へご納車する前の売約済みの車両を一時的に保管するなどの用途で利用しております。駐車場壁面における社名・ロゴ・サービス内容の掲示については、市のご担当部門からは規制対象となる広告看板にはあたらないとの判断を頂戴しております」と回答している。

松山市内の別店舗でも疑惑…市が調査

さらに、松山市内の別の店舗では、市の基準を超える巨大な敷地面積で店舗が作られた疑惑も浮上。

ビッグモーターと関連会社2社合わせて3社が隣り合う土地で別々の開発申請を出していたが、「実際には一つの店舗として運営されているのでは」として、市が調査に乗り出している。

同業他社にも疑惑浮上

さらに23日、他の中古車販売業者にも疑惑が浮上した。

愛知県を中心に東海地方などで49店舗を展開する「グッドスピード」は23日、損害保険会社から過去の請求について調査協力を求められていると明らかにした。

関係者によると、事故車の修理費用を過大に計上し、自動車保険の保険金を水増し請求していた疑いがあるという。今後行われる調査が注目される。

(「イット!」 8月23日放送より)

※FNNでは「ビッグモーター不正問題」を継続取材しています。情報提供してくださる方は、ぜひこちらまでご連絡ください。

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